骨髄不全症例の約60%で検出されるPNH形質血球をマーカーとして、造血幹細胞の分化造血制御について考察した。患者の骨髄中に存在している様々な造血前駆細胞ごとにPNH形質血球の割合を調べたところ、CMPにおいては10%未満であったのに対して、以降の造血前駆細胞においては末梢血中の骨髄球系細胞とほぼ同等の割合でPNH形質血球が認められた。PNH形質血球の選択的増殖における付加的遺伝子変異を確認するための遺伝子解析では、特定のサイトカインの発現が亢進していることを明らかにした。以上より、ヒト造血の系列は個々の造血幹細胞または骨髄内のサイトカインを含む複合的な因子により規定されると結論付けた。
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