研究課題
平成26年度では申請課題研究計画にあるELISA法構築にむけての抗体作成、リコンビナント蛋白質作成およびVEGF-A165bの分子メカニズムにおいて遂行中であり、現時点で以下のような解析結果を得ている。1. VEGF-A165b発現メカニズム解析において、マウスマクロファージ様細胞RAW264.7細胞にリコンビナントWnt5a蛋白を添加することにより、VEGF-A165b発現を誘導できることを確認した。2. RAW264.7細胞にWnt5aのアンチアゴニストであるSfrp5を添加することによりWnt5aにより誘導されるVEGF-A165b発現を抑制した。3. RAW264.7細胞にJNK阻害剤を添加することで、Wnt5aにより誘導されるVEGF-A165b発現を抑制した。4. RAW264.7細胞において、Wnt5a の代表的な受容体ROR2およびsplicing factor SC35のshRNA技術を用いたノックダウンにより、Wnt5aが誘導するVEGF-A165b発現を抑制した。5. Wnt5aにより誘導されるVEGF-A165b発現調節にROR2 / JNK / SC35経路が関与していることが明らかとなった。6.野生型マウスに左冠動脈結紮を行い作成した心筋梗塞モデルでは、VEGF-A165b発現の誘導は認められなかった。7.マウス下肢虚血モデルの解析から代謝障害を背景とした条件下でVEGF-A165b発現の誘導ができることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
初年度での研究計画としては、VEGF-A血管新生促進・抑制アイソフォーム特異的ELISA構築することであった。しかし、VEGF-A抑制アイソフォーム特異的抗体作成、検量線用リコンビナント蛋白作製に時間を要している。そのため、次年度予定の研究計画を前倒しで行い、その中でVEGF-A165bの分子メカニズムのひとつが明らかとなった。VEGF-A165bの分子メカニズムの解明は平成26年度に論文化された論文中で重要なデータのひとつとなった。従って、現時点での達成度はおおむね順調であると考えられる。
現時点ではVEGF-A165bの分子メカニズムのひとつが明らかになった。さらに、代謝障害によりVEGF-A165b発現が誘導されることも明らかになった。現在、VEGF-A抑制アイソフォーム特異的抗体作成、検量線用リコンビナント蛋白作製が完了するまでの間に、市販VEGF-A165b ELISAにおいて特定条件下における測定系が構築できそうであるため、今年度はその構築と併行して行っていく予定である。測定法が確立し次第、申請課題テーマである心血管病を含めた代謝障害を背景とした一連の患者群VEGF-A165b濃度測定を主眼とした解析を行う。
初年度での研究計画内にあるVEGF-A血管新生促進・抑制アイソフォーム特異的ELISA構築の第一段階として行っていた、VEGF-A抑制アイソフォーム特異的抗体および検量線用リコンビナント蛋白作製に時間を要している。このため、その後の研究作業のための費用を次年度分へと持ち越した。
VEGF-A抑制アイソフォーム特異的抗体および検量線用リコンビナント蛋白作製後のELISA構築費および市販VEGF-A165bELISA購入費用として使用予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)
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