タバコの活性成分であるニコチンは主に喫煙によって摂取され、精神依存だけなく、多くの神経機能を増強する。特に、喫煙とうつ病の発症は高い相関関係を示す。うつ病の発症には、心身の安定や心に安らぎに関与するセロトニンが不足することが原因であると考えられている。一方、セロトニンは食事から摂取されるトリプトファン(TRP)から合成され、TRP欠乏がうつ病を悪化させると報告されている。本研究では、胎生期のニコチン摂取によって脳内のセロトニンが変化するだけでなく、TRP代謝も影響を受け、さらに出生後の慢性炎症により、うつ病を発症するリスクが高くなる可能性を示した。
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