抗リン脂質抗体症候群(APS)は抗リン脂質抗体の出現に伴い、動静脈血栓症を発症する疾患である。本研究では、APS患者の血中が高度の酸化ストレス状態であることを明らかにし、抗リン脂質抗体や酸化ストレスが血管内皮細胞や単核球の組織因子発現やケモカイン・炎症性サイトカインの産生を増加させ、一酸化窒素合成酵素の産生を抑制することを見出した。これにより、抗動脈硬化作用を有する一酸化窒素の産生が低下し、血管壁の炎症や動脈硬化が進展することで、APS患者に易血栓性がもたらされると考えられる。また、APS診断において測定すべき抗リン脂質抗体の種類について提唱した。
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