研究課題
アミロイドーシスは、アミロイド線維が諸臓器に沈着することで臓器障害を引き起こす難治性疾患である。アミロイドを作る蛋白質は36種類報告され、その種類により治療法が異なるため、正確にアミロイド蛋白質を同定することが極めて重要である。本研究は、アミロイドの新たな抽出法を開発し、質量分析装置を用いた正確な病理組織診断法を確立することを目的とする。前年度までにプロテイナーゼK処理のアミロイド診断法への有用性が示されたため、本年度は詳細なメカニズムを検証した。アミロイド沈着組織とプロテイナーゼKを反応させ、蛋白質の性状を銀染色法とウエスタンブロット法により検証した結果、アミロイド以外の共存蛋白質は減少する一方、アミロイド原因蛋白質は保存されることが明らかとなり、検出率向上の一因を突き止めた。また、質量分析を用いた解析により、複数の原因不明のアミロイド沈着症例から、共通の新規アミロイド原因蛋白質を同定した。現在、論文投稿準備中である。さらにALアミロイドーシスにおいて、L鎖の検出率向上を目指したデータベースの構築では、従来のデータベースに免疫グロブリンのデータが充実したImmunogeneticsを統合させることで検出率が向上する傾向が得られた。ALアミロイドーシスの予後不良マーカーの探索および病態解析に関して、症例を増やし、質量分析装置を用いて解析した結果、定常領域の検出頻度としては、IGLC3、IGKC4 が比較的多く、可変領域は、λ型ではIGLV3、IGLV6が多く認められることが明らかとなり、学術雑誌に報告した。また、予後不良患者では、複数の症例でIGLC2が認められ、予後予測マーカーとなる可能性が示された。質量分析装置で同定できたL鎖の配列からペプチドを作製し、各種生化学的手法により解析したところ、本ペプチドのアミロイド形成能が確認され病態の一因を明らかにした。
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Amyloid
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10.1080/13506129.2016.1276440.
Annals of Neurology
10.1002/ana.24914.
Neurology
臨床血液
巻: 23 ページ: 207-208