研究課題
SLEの診断には、米国リウマチ学会の「SLE改訂分類基準」が汎用されており、11項目の理学的所見や画像もしくは血液検査のうち4項目以上あてはまる場合に、SLEと診断される。2012年になって、Systemic Lupus Collaborating Clinics が「SLEの新分類基準(SLICC)」を出したが、その内容は、「臨床11項目と免疫6項目から、それぞれ1項目以上、合計4項目を認めればSLEと分類される」となっており、あまり変わっていない。このように分類基準が曖昧となっている理由として、症状が多彩であり、全SLE患者に共通し、他の膠原病および炎症性疾患と鑑別できる異常が発見されていないことが考えられる。そのため、全SLE患者に共通した異常を見出し、感度・特異度の高い診断マーカーを開発することが求められている。近年、研究代表者らは、SLEの末梢血リンパ球で、mRNAのスプライシングに必須なU1-68Kが異常に脱リン酸化を受けていることを発見した。本研究では、研究代表者が確立した末梢血リンパ球のハイスループットなスプライシング活性評価法により、SLEを始めとする各種膠原病患者及び健常者のスプライシング活性を測定し、「スプライシング活性異常」の「診断もしくは病勢モニタリングマーカー」としての価値を評価すると同時にスプライシング解析を通して、SLEなどの膠原病の病態形成機序の解明を試みる。平成26年度は、まず確立したスプライシング活性評価法の精度をあげるために、本法で使用されるリアルタイムPCRのプローブセットを数種類設計し、比較検討した。次に各膠原病患者および健常者の末梢血リンパ球におけるスプライシング活性を測定することで、健常者と比較しSLEとMCTD両疾患特異的にスプライシング活性異常があるかについて調べることを目標とした。
3: やや遅れている
当初の平成26年度の到達目標では、各膠原病患者および健常者の末梢血リンパ球におけるスプライシング活性を測定することで、健常者と比較しSLEとMCTD両疾患特異的にスプライシング活性異常があるかについて調べることまでを目標としていた。しかし、本年度はこのスプライシング活性測定の精度を上げることに注力したため、各膠原病患者(および健常者(末梢血リンパ球(各4例)を収集するまでとなり、結論は出ていない。
平成26年度までに各膠原病患者(SLEおよびMCTDそれぞれ4例)および健常者(4例)から採血し、末梢血リンパ球を分離した。平成27年度は、その末梢血リンパ球を、スプライシング活性測定に供し、SLEとMCTD両疾患特異的にスプライシング活性異常があるかについて検討する。2もしくは3群間で差が認められた場合、検体数を増やして同様の測定を行い、感度及び特異度の高い診断マーカーとして有用であるかについて評価する。また、各膠原病患者および健常者の末梢血リンパ球における脱リン酸化U1-68kを検出することで、脱リン酸化U1-68k の増加が、SLEとMCTD両疾患に特異性があるかについて確認する。
平成26年度の残額15744円で、必要な試薬の購入が不可能であったから。
平成26年度の残額に平成27年度の予算の一部を足して、スプライシング活性測定に必要なPCR用の試薬を購入する予定である。
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Mod Rheumatol.
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Biochem Biophys Res Commun.
巻: 452 ページ: 85-90
10.1016/j.bbrc.2014.08.053.