研究課題/領域番号 |
26860376
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
星 雅人 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (40633996)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | IDO / B16細胞 / α-ガラクトシルセラミド / トリプタファン代謝 / 1-metyl-D-tryptophan / 1-metyl-L-tryptophan |
研究実績の概要 |
1.B16腫瘍細胞をマウスに静脈投与し、肺転移モデルを作製した。移入2週間後のB16腫瘍細胞移入群では、コントロールと比較して有意に肺体重比の増加を認め、B16腫瘍移入後7日目にα-GalCerを単回投与した群との比較では、肺体重比および腫瘍面積が有意に減少していた。 2.IDO阻害剤(D- or L-1MT)とα-GalCerを併用投与し、腫瘍投与後2週間の肺で未治療群と治療群の評価を行ったところ、α-GalCer単独投与群では、IDO活性を示すKyn/Trp比が、投与後48時間で有意な増加が見られた。併用投与群では、IDO活性が抑制されていることが確認された。また、肺体重比および腫瘍面積では、α-GalCer未投与群および単独投与群と比較して、併用投与群では有意に減少していることが分かった。 3.腫瘍細胞移入7日後にα-GalCerを投与し、血清中IFN-γおよびKyn/Trp比の経時的変化を測定したところ、α-GalCer投与後6時間で未投与マウスと比較して有意に増加していた。すなわち、α-GalCer投与により血中IFN-γが増加することで、IDOの活性が誘導されたと考えられた。実際、腫瘍移入7日後にα-GalCer投与24時間後の肺臓におけるIDO1、2のmRNAの発現量を確認したところα-GalCer未投与群と比較して有意な増加を認めた。同様に、IDO1、2 の蛋白発現量をWestern blotting法で確認したところ、未投与群と比較し発現の増加が認められた。さらに、肺臓の免疫組織化学染色を実施したところ、B16移入群およびα-Galcer 投与B16移入群ではIDO1、2共に腫瘍細胞で弱発現、マクロファージ様細胞で強発現していた。Control群では、マクロファージ様細胞で強発現していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画として、WT、IDO1-KO及びIDO阻害剤投与マウスの比較実験を行い、1)各種転移性腫瘍モデルの作製(B16, LLC, EL-4等)、2)血中・組織中のIDO1の発現及びトリプトファン代謝産物分析、3)IFN-γを中心としたサイトカイン量の経時的変化、4)病理組織学的所見、腫瘍量及び生存率の比較を主として明らかにすることを計画していた。1)~4)のほぼすべての実験が完了しており、おおむね計画通りに実験が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に続き、1)IDO1-KOマウスにおけるトリプトファン代謝産物の有無によるNKT細胞及びCTL誘導効率の比較、2)臨床応用も視野に入れ、α-GalCerの投与方法(静注、臓器注、皮下注及びα-GalCerで刺激した樹状細胞の投与等)及び他のNKT活性リガンドの評価と複数のIDO阻害剤別にみた効果についても検討を行い、より効果的な薬剤および組み合わせを明らかにする。上記課題を円滑に実施し、学術的価値の高い雑誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に目標としていた学会に発表する予定であったが、実験に使用する抗体類の入手に時間を要したため、実験結果が十分に出ていない状況であった。このため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に生じた未使用額は、未達成であった学会等の発表経費に充てることとしたい。
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