研究課題/領域番号 |
26860378
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
大山 浩之 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (80572966)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 臨床化学 / タンパク質工学 / 免疫化学 |
研究実績の概要 |
体外および体内診断薬としてより優れた機能をもつ抗体を得るために, 天然の抗体分子を遺伝子操作により改変する抗体工学が革新的な方法論と期待されてきた. 本法は, 膨大な多様性を持つ変異抗体の分子集団ファージ提示し、そのファージライブラリーからごく希少な改良分子種を選別する。しかし、実際には目的抗原を高い水準で認識する変異抗体の取得は困難である場合が多く、新しい手法の開発が待たれる。申請者はまず、抗原非特異的なファージの凝集が問題点になっていると考えた。そこで、モノクローナル抗ファージ抗体を新たに樹立し、これを用いたファージの分散が可能か試みた。ファージ提示法でヘルパーファージとして多用されるVCSM13を大腸菌から大量調製して精製し免疫源として用いた。これを免疫増強剤と共にBALB/cマウスに投与してその血清中抗体価を調べたところ、強い陽性反応を示すマウスを特定した。このマウスの脾細胞を用いてミエローマ細胞と融合させた。融合後の細胞を選択培養してハイブリドーマを得たのち、限界希釈法によりクローン化して目的の抗ファージ抗体産生株を7種樹立した。このうち2種のモノクローナル抗体がVCSMに対して良好な反応を示した。これら抗体のエピトープをウェスタンブロッティングにより調べた結果、いずれの抗体についてファージの主要コートタンパク質であるpVIIIに相当する分子量5.2kDaにバンドが認められ、これら抗体のエピトープはpVIIIであると推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を遂行するにあたって、VCSM13に対するモノクローナル抗ファージ抗体をハイブリドーマ法により樹立することが最初のポイントであった。これは平成26年度中に達成できており、そのキャラクタリゼーションも終了している。従って、本抗体の修飾やこれを用いるファージの顕微鏡観察は比較的短期間に行えることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
ファージの凝集を解消するため、得られたモノクローナル抗ファージ抗体に分散性タグを標識することを試みるが、まず、抗体を反応させる前にファージの分散を促進させる溶媒条件を検討しておく。続いて、種々のタグで標識することになるが、ファージ抗体の低分子量化も合せて行う。この際、酵素消化による方法または遺伝子操作によるフラグメント化も試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会で発表するための旅費として計上していた助成金を平成26年度中に使用することがなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の早い時期(6月)に国際学会で発表することが確定しており、生じた次年度使用額をこれに使用する。平成27年度分として請求した助成金は申請書の予定通りに使用する。
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