本研究では、神経障害性疼痛モデルマウスのS1で起こるATPシグナルの時間依存的変化と慢性機械的アロディニア形成への関与について調べた。その結果、1)神経障害性疼痛モデルマウスのS1では、シナプス再編が活発に起こる時期に先行して時間限定的なATP濃度上昇が起こることを見出した。また、2) S1頭蓋窓へのATP滴下(10分間静置)により、末梢神経損傷後のS1アストロサイトに見られる機能変調及びシナプス再編、さらには慢性的機械アロディニアが誘導されることを見出した。本研究結果から、末梢神経損傷後にS1で起こる細胞外ATP濃度上昇が神経障害性疼痛形成メカニズムの必要条件であることが強く示唆された。
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