LPAは、神経障害性疼痛の初発因子として同定された脂質メディエーターである。一方、AEAや2-AGに代表されるエンドカンナビノイドは、知覚神経において逆行性シグナルとして、疼痛刺激を抑制している。本研究では、LPAとカンナビノイド系の相互抑制機構を検証する中で、LPAがカンナビノイドの分解酵素の発現上昇を誘発し、エンドカンナビノイドの産生量を減少させることを明らかにした。さらに、このLPAとカンナビノイドの相互抑制機構は、神経障害性疼痛時と炎症性疼痛時には異なった制御機構を形成していた。以上の結果は、急性疼痛と慢性疼痛のメカニズムの機構解明と創薬研究にとって重要な成果となることが期待される。
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