研究課題/領域番号 |
26860384
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中山 留美(直野留美) 宮崎大学, 医学部, 特別研究員(PD) (00609034)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 痒み / GPR83 / 受容体 / 脊髄 |
研究実績の概要 |
中枢神経系における痒み伝達機構の解明に関する研究は、8年前に初めて痒みの伝達に関与する受容体(GRP(gastrin-releasing peptide receptor))が同定されたことを始まりとした、神経科学の新しい研究分野の一つである。そこで、これまで進めてきた脊髄での疼痛系における研究から痒み受容体の候補としてオーファン受容体GPR83に注目し痒み伝達機構の解明に向けた研究を進めている。また、この受容体を介した痒みの伝達機構の解明を糸口として、難治性の全身性の痒みに対する治療薬の開発に向けた基礎的研究を展開する。 平成26年度では、GPR83ノックアウトマウスに対して急性的な痒みを誘発する物質の皮下投与による痒み行動だけでなく、機械的および熱刺激に伴う急性疼痛や炎症性疼痛に対する行動学的な解析を実施した。その結果、GPR83ノックアウトマウスでは、ほとんど痒み行動が確認されないが、疼痛行動は野生型マウスと同様の反応を示した。このことから、オーファン受容体GPR83は、痒み伝達機構への関与が示唆された。しかし、GPR83ノックアウトマウスでは個体で発現するすべてのGPR83の発現か欠損していることから、中枢神経系における痒み伝達機構への関与を裏付けるための実験結果としては十分とは言えない。そこで、平成27年度では脊髄でのGPR83の発現様式について詳細に検討することで、中枢神経系におけるGPR83の特徴を明らかにする。 以上のことから、GPR83の脊髄後角における痒み伝達機構における機能を明らかにすることで、中枢神経系における痒み伝達機構の解明がより進んでいくことが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
順調に研究計画に従って研究を進めている。今年度計画していた実験はほぼ終了した。また、今年度予定していた実験のうち、実験の終了していないGPR83のリガンド添加に伴う挙動に関する実験は、次年度も引き続き実験を進め、平成27年度中に論文を投稿し、掲載できるよう努める。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は当初の計画通りの研究内容を進める。具体的には、GPR83の形態学的な特徴を明らかにすることである。作製したGPR83の抗体を用いて、脊髄後角におけるGPR83の発現様式を確認する。また、GPR83と相同な受容体NK1Rとの発現様式の違いを脊髄の組織染色にて確認する。以上のように、平成26年度および平成27年度に進めてきた研究成果を来年度中に論文を投稿し、掲載できるよう努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の期間が2年間となっており、平成26年度で購入を予定していた実験機器が今年度中に納期できないことが判明したので、平成27年度に発注することにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度の研究計画に挙げていた実験機器(プランターテスト Ugobasile社 37370)の購入費(1,170,000円)として使用する。
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