本年度は、医薬品として既に販売されている肺人工サーファクタントを用いてナノ粒子を生理食塩水に凝集せずに分散させる技術を開発した。次に、理化学研究所に設置されている自己遮蔽型PET用小型サイクロトロンを用いて、ニッケルから放射線核種である64銅を合成し、脂質被覆ナノ粒子のスポンジ効果を利用して、64銅イオンを脂質被覆ナノ粒子に吸着させ、PETトレーサー化を行なった。標識された脂質被覆ナノ粒子をマウス微静脈から投与し、ガンマカウンターを用いて、24時間後の脂質被覆ナノ粒子の臓器ごとの集積率を解析し体内動態評価を行なった。その結果、脂質被覆ナノ粒子は、肝臓、腎臓、肺、腸等に効率的に集積することが認められた。
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