研究課題/領域番号 |
26860397
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
馬込 大貴 東京大学, 医学部附属病院, 研究員 (60725977)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 全骨髄照射 / データベース / DECT / 国際情報交換 / アメリカ / TMI |
研究実績の概要 |
全骨髄照射(TMI: total marrow irradiation)は全身の強度変調放射線治療であり、少しの位置ずれが大きな線量誤差につながる。本研究の目的は、非線形レジストレーション法に基づき各臓器やターゲット領域の位置合わせを行い、実際の線量を評価することと、得られた画像データを積極的に用いた次世代型放射線治療計画法を開発することである。今年度は、ミネソタ大学と協力することで全骨髄照射症例におけるマルチモダリティ画像データベースの作成と画像データベースの情報を積極的に活用する赤色骨髄照射法の提案を行った。 (1)白血病患者における全骨髄照射症例5例の、治療計画用CTと治療直前のMVCT間でB-splineに基づく非線形レジストレーション法を適応し、structureの変形を行った。治療計画時と治療直前におけるstructureの重心距離を求めたところ、ほとんどの臓器で重心距離は1cm以内であったが、肩関節周辺領域で2cmを超える動きが検出された。 (2)全骨髄照射症例5例と7献体において、全身のDECT(deal-energy CT)を撮影し、Basis Material Composition法に基づき、赤色骨髄と黄色骨髄領域を抽出する手法を開発した。領域抽出の際に必要なパラメータは、献体の腰椎を病理標本にしたHistologyデータを教師データとして学習させた。献体のHistologyデータと、DECTに基づく黄色骨髄領域を比較したところ、両者の相関係数は0.861となった。さらに、DECTで同定された赤色骨髄領域のみに強度変調放射線治療に基づき線量を集中させる「赤色骨髄照射法」を提案した。提案手法に基づいた赤色骨髄照射を行うことで、リスク臓器の線量を保ったまま、赤色骨髄の線量増加を行うことができ、白血病患者の治療成績向上に寄与できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、ミネソタ大学と協力することで白血病患者における全骨髄照射症例のマルチモダリティ画像データベースの作成と画像データベースの情報を積極的に活用する次世代型放射線治療計画法の提案を行った。全骨髄照射法は、臨床研究段階の最先端の治療法であるが、提案手法に基づいた次世代型治療法である赤色骨髄照射を行うことで、リスク臓器の線量を保ったまま、赤色骨髄の線量増加を行うことができ、白血病患者に対する治療成績向上に寄与できる可能性がある。 また、ミネソタ大学を通じて、欧州3カ国の施設とも共同研究をスタートしており、国際協力研究として世界をリードできる可能性がある。これまでの研究成果は、現在英語論文として執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度にさらに症例数を増やし、解析を行う予定である。また、次年度に開催されるInternational consortium of total marrow irradiation (ICTMI) workshop(Paris, France 2015年5月)において成果発表を予定しており、協力施設数の更なる増加を目指し、国際協力研究として解析を行う。今後は、今年度開発したデータベースを国際化し、実際に国際臨床治験グループ(ICTMI)での使用を目指し、改良を進める。今年度の研究成果は、現在、英語論文として執筆中である。
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