研究課題/領域番号 |
26860407
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
服部 秀計 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70351046)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | タブレット / 急性期脳梗塞 / DICOM |
研究実績の概要 |
タブレット端末を利用した画像参照システム構築は一般化しつつある。急性期脳梗塞を早期診断、治療するため、急性機能梗塞が疑われて当大学病院へ受診した患者を対象とした後ろ向きに収集した臨床画像を用いた読影実験を行い、タブレット端末を読影に用いることへの医学的な信頼性を検討する必要がある。 読影実験の準備として、当院にて急性期脳梗塞を疑い頭部MRIを施行した症例の中で、陳旧性脳梗塞を指摘できず、発症から6時間以内に撮像された症例の画像に匿名化を行った。これらの症例について、まず2名の被験者にてiPad,医療用高精細モニタにそれぞれ頭部単純CTにて115症例,MRIにて100症例の読影実験を行い、ROC解析での検証を行った。その結果、今回選別した頭部単純CTでの評価は困難であると判断したため、平成26年度の読影実験はMRIでの評価のみを行うこととした。読影実験は研究協力者として読影実験の読影者を放射線科、神経内科、脳神経外科の各科医師から募集し、10名の読影者を確保した。協力者により、急性期脳梗塞群と健常者群の症例を読影し、病巣のスケッチおよび病巣の有無を確信度スケールで回答して頂いた。医療用高精細モニタ、およびiPadにて、同じ画像を読影し、比較するために、医療用高精細モニタ、およびiPadを用いた読影には、間に2ヶ月以上の期間を設けた。 病変と健常の読影の正診率についてROC解析を行った。ROC解析では、医療用モニタ、およびiPadにおけるAUCはそれぞれ 0.935, 0.927となった。iPad airおよび医用モニタにおけるMRI画像を用いた急性期虚血性脳血管障害の診断には、有意差を認めなかった。MRIにおけるiPad、および医療用高精細モニタにおける急性期虚血性脳血管障害の診断は、共に高い精度を誇ることが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の遅れには2点の要因が関与した。一点目は、当初予定していた研究体制では、名古屋大学医学系研究科の吉村久美子先生から助言を伺う計画であったが、諸般の事情により研究体制から外れられることとなったことが挙げられる。二点目は、当初予定した読影実験を行う前に、追加の読影実験を当大学の医療情報システムから求められたことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
再度、収集した症例からCTでの読影実験用の画像を再検討する事と、ネットワークを用いての読影実験を施行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の実験は全て当大学病院電子カルテ用のネットワークに接続せずに実験を行ったために、当初研究計画に計上した電子カルテ接続用コンピューター、医療用高精細モニタを購入せずに実験を行ったのが最も大きな要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究継続は、当大学病院電子カルテ用のネットワークに接続を行って実験を行う計画をしている。現在、学内のネットワーク工事見積りを行っている段階である。 また、新規タブレット端末においての追加実験を検討する。CT画像を用いた読影実験が追加実施可能かを再度検討、症例の再選定ののちに追加実施を行う。
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