研究課題/領域番号 |
26860407
|
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
服部 秀計 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70351046)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | iPad / DIDOM / タブレット / シンクライアント |
研究実績の概要 |
タブレット端末を利用した画像参照システム構築は一般化しつつある。一作年度前に本研究の予備研究として、iPad及び医療用高精細モニタで急性期脳梗塞のMRIにおける正診率についての比較読影実験を行った。読影結果についてROC解析を行なったが、AUCに有意差を認めることはなかった。その結果として、当院でのiPadを用いた画像参照が開始されている。 昨年度はgo-globalおよびcitrix xenappを用いた読影環境の構築をおこなった。これによりiPad上にwindows用のDICOMビューワーを表示する環境を整えることができた。同環境構築に並行して、タブレット端末における画像診断の妥当性を検討するには欠かせない通信環境悪化時のシュミレーションを行った。これは実際の携帯通信網を利用した読影を行うことを想定した実験である。これによりthin clientを介して画像表示を行なった場合には、現在の携帯通信網を利用する場合には、通信速度による制限よりも、通信環境によって生じるネットワーク遅延によるユーザビリティの低下が問題となることが判明した。本研究の目的は、シンクライアントを利用した環境でタブレット端末上に医用画像を表示した場合、読影結果に影響があるかを調べることであるために、このネットワーク遅延について、日本医学放射線学会第 161 回中部地方会回にて発表を行った。 これらの問題を解決するために、画面のγ値の変更が可能であるwindows タブレット製品で実験を継続するか検討する必要がある。その場合は、WAN 高速化機能 (UDP アクセラレーション機能)を有する製品の導入を行うことで、ネットワークの遅延にも対応できかを検討する。最終的には、タブレット端末上にシンクライアントを用いた画像参照システムを構築した場合に正診率への影響はどの程度あるかを明らかにする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初予定していた急性期脳梗塞のCTの読影実験は実施できていない。理由として、予備実験をおこなった際に試験的な読影実験を行ったものの、結果がわるかった。現在用いているタブレット端末はapple社製のiPadであり、モニタをGSDF(G rayscale Standard Display Function:グレイスケール標準表示関数)にキャリブレーションすることができないためである。これを回避するためにthin client環境上に構築されたwindows環境に、市販のキャリブレーションソフトウェアでのキャリブレーションを試みたが、現段階の製品ではキャリブレーションはできなかった。 現時点で判明しているもう一つの問題点としてネットワークの遅延によるユーザビリティの低下が挙げられる。これに対応するためWAN 高速化機能 (UDP アクセラレーション機能)を有する製品の導入を検討している。
|
今後の研究の推進方策 |
シンクライアント環境の構築、シンクライアント上でのDICOMビューワの動作に現在のところ問題は生じていない。今後、ネットワークの遅延にも対応できる環境構築及び画面のγ値の変更が可能であるwindows タブレット製品で実験を継続するか検討し、WAN 高速化機能 (UDP アクセラレーション機能)を有する製品の導入を行ったうえで、タブレット端末上にシンクライアントを用いた画像参照システムを構築した場合に正診率への影響はどの程度あるかを明らかにする予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅れにともなう。
|
次年度使用額の使用計画 |
モニタγ値のキャリブレーションについては市販の製品導入が可能かを検討している。新規開発を行うには予算が乏しい。
WAN高速化機能を導入した実験を続行するためにはWindows タブレットの購入を検討中である。本研究としてはタブレット端末での利用がもっとも望ましいが、適当な製品がない場合には2in1と呼ばれるタブレットにもなるノートパソコンを購入しての実験継続も視野にいれる。
|