タブレット端末を利用した画像参照システム構築は一般化しつつある。iPad及び医療用高精細モニタで急性期脳梗塞のMRIにおける正診率についての比較読影実験を行った。読影結果についてROC解析を行なったが、AUCに有意差を認めることはなかった。その結果として、当院でのiPadを用いた画像参照が開始された。一昨年度はgo-globalおよびcitrix xenappを用いた読影環境の構築をおこなった。これにをもとにiPad上にwindows用のDICOMビューワーを表示する環境を整えることができた。同環境構築に並行して、タブレット端末における画像診断の妥当性を検討するには欠かせない通信環境悪化時のシュミレーションを行った。これは実際の携帯通信網を利用した読影を行うことを想定した実験である。現在の携帯通信網を利用する場合には、通信速度による制限よりも、通信環境によって生じるネットワーク遅延によるユーザビリティの低下が問題となることが判明した。このネットワーク遅延について、日本医学放射線学会第 161 回中部地方会回にて発表を行った。これらの問題を解決するために、画面のγ値の変更が可能であるwindows タブレット製品で実験を継続するか検討した。WAN 高速化機能を有する製品の導入を検討したが、良好な実験環境構築にいたることができなかった。ネットワークの遅延に関しては今後5Gによる携帯網の構築が想定され問題の一部が改善されることが期待される。また、タブレット端末の液晶パネルについての物理的な検証を行った。医用画像の観察には、液晶パネルの輝度が均一であることが望ましい。垂直方向からの計測において、iPad air、医用モニタともに均一な輝度を示すが、近距離からの輝度色度ユニフォミティ測定器による測定では、輝度の不均一性があることが判明した。現在、これらについて論文投稿中である。
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