研究課題
本研究は,強度変調放射線治療を含む高精度放射線治療における生物学的効果の影響について生物学的,物理学的なアプローチにより評価することを目的とする.手法としては,モンテカルロシミュレーション を用いて,様々な光子エネルギーごとに細胞内に付与されるエネルギー分布をマイクロドシメトリの手法に基づき計算し(線質の影響),数理モデルを用いて生物学的効果の影響について評価する.また,小線源治療や治療装置においては物理的な線量分布をフィルムや電離場などを用いて計測し,最終的には線質と線量の両方の情報から様々な治療ビームでの生物学的効果の評価を行う.今年度は,体外照射で一般的に用いられている高エネルギー光子線(ライナック)およびコバルト線源のガンマ線についても細胞照射を行った.細胞照射を行うにあたっては,吸収体からの散乱線を十分に確保するため,細胞照射専用のファントムを作成し,その中で照射した.さらに細胞照射は照射条件や培養条件によって大きく結果が左右されるため,データのばらつきを把握し照射条件の標準化と基準データの取得を行う必要があった.そこで最終年度は,細胞をフラスコ内の培養面に付着させた場合と培養液の中を均一に浮遊させて照射した場合で,生残率の違いを評価した.両者の違いはわずかではあったが,細胞を付着させたた場合で生存率が高く放射線抵抗性を僅かに示した.また,これまでの細胞照射の結果を解析し,高エネルギー光子線治療(ライナック)における生存率の基準データを取得することができた.最後に,マルチリーフコリメータの動きが単純な強度変調放射線治療のフィールドを用意し,細胞照射を行った.通常の照射条件にくらべてより複雑な照射野で4 Gyを投与し,生存率を求めたが,基準データと比較し同一生存率で見た場合の線量比に大きな違いは見られなかった.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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