妊婦の東日本大震災前後の血圧の推移、心血管疾患の発症等を分析することで震災の影響を検討した。東日本大震災前後の妊婦の家庭血圧を比較したところ、震災後に上昇が認められた。また、被災地に居住していた妊婦では、それ以外の県に居住する妊婦と比較して総コレステロールの上限基準を上回る割合が有意に高く、総タンパク質の下限基準を下回る割合が有意に低かった。震災による家屋の損壊状況と、震災から約3-5年後の妊娠時の妊娠高血圧症候群の割合については、統計学的有意差は認められなかった。震災が血圧や血液生化学値に影響を与える可能性が示唆されたが、慎重な解釈と今後の詳細な検討が必要である。
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