研究課題/領域番号 |
26860413
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
内田 満夫 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (00377251)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インフルエンザ / 疫学 / 質問紙 / 学校閉鎖 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域における小学校児童のインフルエンザ発症と,その対象者や組織が実施している感染症対策を質問紙を用いて前向きに調査し,非薬物的対策である組織閉鎖の効果およびそれに関連する社会環境因子の影響を明らかにすることである。平成26年度は,研究者の居住する松本市における国公立小学校29校の児童全てを対象として,質問紙によりインフルエンザ発症状況に関する調査を実施した。まず関連する組織である松本市教育委員会,松本市医師会,松本保健所に調査の趣旨を説明して調査の実施の同意を得た。次いで全小学校を訪問し,主に養護教諭に調査内容と協力依頼の説明を口頭で行い,全ての小学校において了承を得た。続いて全小学校に発症者用の質問紙を配布した。松本市では,平成26年は11月後半よりインフルエンザの流行が起こった。現在小学校では,インフルエンザを発症してから学校に復帰するためには治癒報告書の提出を求めている。本研究では,経時的な縦断研究を行うため,第1次調査として治癒報告書の配布に合わせて本研究用の質問紙を同封してもらい,質問の回答と提出を保護者に求めた。全児童数13,217名のうち,平成27年2月末までに回答用紙を返却した発症者は2,548名(全体の19.3%)であった。また児童全員を対象とした発症と非発症の状況を横断的に調査するため,インフルエンザの流行が終了する時期に合わせて第2次調査を実施した。平成27年2月初旬より再度全小学校を訪問して質問紙を配布し,3月初旬に質問紙を全保護者に配布して今シーズンの発症状況などについて調査した。その結果,全児童13,217名中,11,389名(86.2%)の児童の保護者より回答を得た。平成27年3月末現在,回収した調査用紙を集計中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度中に,同年度に発生したインフルエンザに関連する縦断調査,横断調査を実施し,データを収集する予定であったため,研究は予定通りに進行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,データの集計と解析を行い,調査結果を評価する予定である。また調査に協力いただいた各組織に対して,調査結果の説明も行う予定である。まず収集したデータを集計すると同時に,学校から教育委員会に届けられた公的なデータと比較を行い,第1次調査で得られたデータ数の信頼性を評価する。次いで,これらのデータより得られた知見を統計的手法を用いて評価し,研究目的である組織閉鎖の効果,また関連する因子の評価を行う。調査の評価方法は,予定通り1)記述疫学的評価,2)感染症数理モデルを用いた評価,3)GISを用いた地理的影響の評価を行う。統計的手法を用いた評価が完了し次第,学会発表や論文作成を行い,また得られた知見を各組織において報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の研究費から前倒し請求を行ったが,当初計画で見込んだよりもやや安価に研究が進んだため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は,平成27年度に使用する予定であった消耗品,旅費と合わせて使用する。
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