平成26年度は、精神科医や計量心理学者など多職種の参加を得て、インターネット依存の定義付けやスクリーニング項目のあり方をテーマに4回の班会議(検討会)を開催した。検討の結果、インターネット依存症が独立した疾患概念であるか否かについては、中立的な立場を堅持するものとし、既存のスクリーニング尺度や他の依存症尺度などを交えた第1次調査を一般集団を対象に行うこととなった。 平成27年度は、心理学者の参加を得て、インターネット依存のスクリーニング項目や調査細目の検討など、9回の班会議(検討会)を開催した。その結果、既存のスクリーニング尺度や他の依存症尺度などを含む第1次調査を、一般集団を対象として実施することが正式に決定し、その実施調整を行った。 平成28年度は、4月に一般集団1070名ほどを対象に行われた調査の結果を入手し、分析を進めた。この調査には、研究班が作成したインターネット依存のスクリーニング尺度及び既存のスクリーニング尺度や他の依存症尺度等が含まれており、インターネット依存に関する大規模な調査である。また、9月には沖縄県のNPOリカバリーサポート・ネットワーク及び国立病院機構琉球病院を視察し、依存症に関する総合的な知見を得た。 平成29年度は、昨年度に実施した一般集団1070名ほどを対象に行われた調査について、分析を進め、その成果を査読付き日本語論文として出版した。多数乱立するインターネット・アディクションの尺度を要素ごとに分解して再統合し、シンプルで汎用性の高い尺度を提案するものである。また、10月には日本国内の依存症に関する専門家、実務家をお呼びして、大阪にて依存症に関するシンポジウムを開催した。このシンポジウムは依存症対策のあり方に対して率直な意見交換を行うことを目的としており、参加者からの評価も高かった。 上記のように、本研究班はおおむね所期の目的を達成した。
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