今回比較を行うメガトライアルに関しては、患者のエントリー、フォローアップが終了した。本ランダム化比較試験(randomized controlled trial; RCT)はサンプルサイズ2000のEffectiveness trialである。また、各種データベースから文献検索、研究選択を行った結果得られた、これまでに報告されているうつ病に対する抗うつ薬についての観察研究の結果を整理、分析し、RCTの結果と比較した。その結果、今回の内的妥当性だけではなく外的妥当性も高めることを目指したEffectivenessメガトライアルの結果は、外的妥当性が高いことが示唆された。更に、抗うつ剤とベンゾジアゼピンの併用についての系統的レビュー及びメタアナリシスを実施した。また、治療効果の指標として用いられる、オッズ比(odds ratio: OR)、リスク比 (risk ratio: RR)、リスク差(risk difference: RD)、あるいはその逆数である治療必要症例数(number needed to treat: NNT)に関して文献レビューを行い、どの指標を用いるのが実臨床への一般化に有用なのかにつき、情報収集及び検討を行った。これらにより得られる結果は、うつ病診療において、医師・患者が迷う治療の選択において、非常に有用な情報を提供するとともに、RCTの研究デザインの検討、結果の提示においても有用な情報を提供すると考えられる。
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