研究課題/領域番号 |
26860420
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
川鍋 伊晃 北里大学, 東洋医学総合研究所, 研究員 (40445523)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 舌所見 / 漢方医学 / 客観化 / 定量化 / 分析アルゴリズム / 国際研究者交流(マレーシア) / 国際標準化 |
研究実績の概要 |
舌撮影解析システムを用いた健常人データ取得開始に際し、臨床情報と舌所見の相関の評価を適正に行うため、自覚症状質問項目ならびに他覚所見の抽出作業を行い、当研究用の問診票を完成させた。また、データ採取に際し、ある一定数の協力者の参加が不可欠であることから、漢方医学的所見の客観化研究を共同で進めている富士通株式会社にデータ取得の協力を依頼し、臨床研究協力の同意が得られ、当学において倫理委員会に研究計画を申請し認可が得られた。データ採取へ向けた各種準備を行い、平成27年3月より22名の富士通株式会社の勤務者を対象に臨床研究を開始した。今後は約2年間をかけて健常人のデータ集積を順次行っていく予定である。 また、適正な臨床データ評価のため、舌撮影解析システムの光源を含む撮影環境の性能評価を行い、適正な舌画像を得る上で最低限満たされるべき必須要件を再検討し、撮影された画像の解析手法も並行して検討した。本研究費で購入した画像解析ソフト(MATLAB)を使用して、適切な舌画像の抽出や色形態の定量化を目的とした分析アルゴリズムの開発に着手し、試験的に撮影した画像を用いた検証作業を進めた。今後約1年間をかけて過去の研究報告との比較検討も踏まえ、舌画像の定量化の解析手法を確立する予定である。 上記研究活動の結果をもとに、本年度以降は学会報告や研究論文の作成を順次行い、今後の改良型舌撮影評価システム開発へ向けた臨床データベース構築を行っていく予定である。また、得られた成果を基に、光源や色補正、視環境など舌診関連医療機器の根幹をなす各要素の性能や安全性に関する国際規格の成立へ向けて、ISO TC249での取り組みを進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種手続きを経て、平成27年3月11日より22名の富士通株式会社の勤務者を対象に臨床研究を開始した。現在結果の解析作業を行っており、結果の妥当性が確認できれば、今年度さらにデータ収集を進め、約2年間をかけて目標人数をめざして健常人のデータ集積を順次行っていく予定である。撮影機器ハードウェアに関しても問題点の洗い出しが出来ており、より信頼性の高い臨床研究へ向けた取り組みも並行して進められている。
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今後の研究の推進方策 |
舌撮影解析システムの光源を含む撮影環境の性能評価を行った結果、改善すべきいくつかの課題があることが分かり、現在それらの解決を目的とした改良型撮影評価機器の開発を進めいており、今年度中に試作を予定している。 また、撮影された画像の解析手法に関して、技術的なサポートを目的として、平成27年3月よりマレーシアから研究生を受け入れ、本研究費で購入した画像解析ソフト(MATLAB)を使用して、適切な舌画像の抽出や色形態の定量化を目的とした分析アルゴリズムの開発を進めており、色の評価に関しては一定程度の手法の確立に至っている。今後は形態の認識ならびに定量化に関しても、評価手法を確立していく予定である。 今後は健常人のみならず外来患者も対象としたデータ集積を行い、各種臨床データの比較検討から舌診のエビデンス構築へ向けた解析作業を検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定と比べ、大学内の倫理委員会での審査や研究協力機関の同意取得ならびに研究参加者の募集に当初の想定よりも時間がかかり、結果として研究開始が遅れたため、当初見込み予算の使用が困難であった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は研究参加者を引き続き募り、着実に臨床データ収集ならびに解析作業を進める。また、昨年度当科研費で購入した画像解析ソフト(MATLAB)を使用し、解析アルゴリズムの開発を継続予定であるが、診断システムの開発へ向けて機械学習の手法を検討する必要があり、machine learningやneural networkなどの機能追加の必要性があり購入を検討中である。また、現行の舌撮影評価システムに関する性能分析から、改良を要する何点かの問題点が明らかとなり、是正を図るべく新システム開発を進めており、関連診断機器ハードウェアの購入を検討中である。また、解析ソフトの一部がwindows7(32bit)環境下でしか動作しない状況のため、新規に専用のパソコンの購入も検討中である。
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