研究課題
本研究は、日本人における疾病リスクについて明らかにすることを目的として立ち上げられたライフコース疫学研究である。研究の対象地区の小中学校で行われ、結果が蓄積された過去の学校健診や血液検査の結果と、成人になってからの健康アウトカムとの関連について、疫学的手法を用いて検討するリンケージ研究を行ってきた。これらのデータから、小児期のBMIの変化と脂質の値の推移、小児期のBMIの変化と成人後の血圧の関係、思春期と成人後のHbA1cの関係について解析し、どれも関連が示唆される結果が得られた。また、前年度に学会発表した内容のうち、小児期のBMI変化と成人後の尿酸値は、各種の調整を行っても関連が見られるという解析結果については、論文化し英文誌に掲載された。本研究では、これまで小児期の体格変化について、二時点を比較することで評価して来た。しかし、データには小中学生時の多岐にわたる内容の検査結果が複数回蓄積されており、体格や各検査結果の推移を観察し得る。よって、これまでの研究で関連が示唆された項目を含め、データの推移に注目した解析を継続する必要があると思われる。さらに、成人後に各種検査結果に異常あるいは正常高値となる集団の特性を掌握することで、適切な介入時期の特定や、介入の要否が明らかになると考える。今後も引き続き、小児期-成人期の連結データを用いて生活習慣病に関係する様々な項目について長期的な経年変化を解析していきたい。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Pediatric Researh
巻: 81 ページ: 293-298
10.1038/pr.2016.213.