研究実績の概要 |
胆嚢がんの予後に遺伝的要因が関与していると考え、我々は、がん関連遺伝子SNPアレイを用いて、生存期間に関わる遺伝子の同定を試みた。2007年から2012年までの間に、チリ・サンティアゴの私立病院において胆嚢がんと診断され胆嚢切除術を受けた患者96例を対象とした。SNP解析にはイルミナ社製Cancer SNP Panelを用いて、408のがん関連遺伝子における1,421のSNPsをタイピングし、ログランク検定を用いて疾患特異的生存率に関与するSNPをスクリーニングした。検定P値について、false discovery rate(FDR)法を用いて、FDR-Q値のカットオフを0.3に設定すると、6個の生存期間に有意差を有するSNPsが同定された。これら6個のSNPsを共変量としたCox回帰分析によってリスク分類モデルを作成し、LOOCV解析による内部検証を行った。リスク分類における高リスク群では低リスク群と比較して、有意に生存期間が短かった(P<0.0001)。また、リスクSNPの件数に基づいて予後予測モデルを作成したところ、リスクSNPの件数は有意に疾患特異的生存期間と関連していた(P<0.0001)。年齢、性別、ステージを因子に加えた多変量解析においても、リスク分類およびリスクSNPの件数は、独立した予後予測因子であることが示された(いずれもP<0.0001)。本研究によって、がん関連SNPアレイ解析により、胆嚢がんの生存期間に関連する6個の候補SNPsが同定された。これらのSNP解析と従来の臨床病理学的なリスク因子との併用により、より正確な予後予測や個人に合わせた治療法の選択につながると考えられる。
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