研究課題
本研究の目的は、地域在住高齢者を対象にポジティブ感情の有無と健康状態との関連について検討し、ポジティブ感情の予防医学的効果を検証することである。前年度までに、関西の地域在住高齢者を対象として笑いを用いた健康教室(笑いヨガを中心とし落語鑑賞などを組み合わせたもの)を実施し、その前後においてヘモグロビンA1cの低下、ポジティブ感情の増加、睡眠時間の増加などが確認された。今年度は福島県においても同様の健康教室を実施した結果、継続率が非常に高くQOLの改善がみられ、地域に関わらず、高齢者にとって笑いヨガを利用した健康教室は参加しやすく満足度の高いものであることが示唆された。これまで、疾病の予防という観点では禁煙や禁酒など楽しみの制限という側面が強かったように思われるが、本研究では笑いやポジティブ感情をすすめることで、楽しみを健康増進に生かすという新たな発想を実施しており、今後の健康教室における新たな取り組みの形を提示できたのではないかと考える。特に、笑いヨガは特別な道具を必要とせず誰もが簡単にできるため、その普及のしやすさも利点である。また、地域在住高齢者に対する総合機能評価のアンケートより、一日中全く笑わない日がある人は、そうでない人に比べて2年後に基本的ADLが低下しやすいという傾向がみられた。さらに、主観的健康度が低い人も、高い人に比べてその後基本的ADLが低下しやすい傾向がみられ、ポジティブ感情があることとともに、自分に対するポジティブな捉え方・受け止め方がその後の健康状態に好影響を及ぼす可能性が示唆された。
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International psychogeriatrics
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