研究課題/領域番号 |
26860430
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
尾瀬 功 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 主任研究員 (00584509)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胃がんサバイバー / コホート研究 |
研究実績の概要 |
胃がんは日本で罹患者が最も多いがんである。一方で、胃がん患者の生存率は他のがんに比べて高く、多くの胃がん生存者(サバイバー)が存在する。また、胃がんの診断・治療の進歩により、今後更に長期生存する胃がんサバイバーが増加すると予想されている。そのため、胃がんの予防と並び、胃がんサバイバーの予後を改善することも今後の公衆衛生上の課題の一つである。健常人が病気にならないための望ましい生活習慣や心理・社会的要因は多く研究され、予防対策がわかっているものも多いが、胃がんサバイバーに当てはまるかどうか不明である。胃がんサバイバーの予後に関連する要因としてはがんの治療の他に、二次がんや他の生活習慣病などが考えられる。胃がんサバイバーの生活習慣・心理・社会的要因と予後の関連を調査することで、胃がんサバイバーの二次がん等について予防介入が可能になると考えられる。 平成26年度は主にコホート研究を行う上でのシステムの構築を行った。すなわち、愛知県がんセンター中央病院で初回治療を行う胃がん患者を系統的に抽出し、研究の説明と参加の要請を行う仕組みや、生活習慣・心理・社会的要因等の調査票の作成、血液検体の採取・保存システム、得られた情報の管理を行うデータベースの作成などである。これらの仕組みを用いて、研究参加に同意を得た対象者について患者コホートを作成し、臨床情報と共に罹患前の生活習慣や心理・社会的要因の調査を行った。 今後は研究参加者を更に増やすほか、これまでの参加者について追跡調査を定期的に実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コホート研究を行うためのシステムの構築は概ね順調である。すなわち、愛知県がんセンター中央病院で初回治療を行う胃がん患者に対して研究参加の要請を行い、調査票による情報収集および血液検体を確保するシステムを構築し、研究参加者の募集を開始している。調査票について、系統的な聞き取り方法を作成し、インタビュアーによるbiasの軽減を図った。研究参加者の臨床情報や生活習慣等のデータベースを構築し、情報の管理を行っている。研究参加者の血液検体採取・保存のシステムも構築し、確実にかつ研究参加者の負担が少なく検体採取ができる体制を整えた。 また、研究対象者は当初の予定よりやや少ないが、比較的高い同意率のため、予定通りの参加者数の確保ができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に構築したシステムを用いて、研究参加者の募集を継続し、より多くの症例を集める予定である。また、これまでの参加者に対しては平成27年度より追跡調査として生活習慣・心理・社会的要因の郵送法による調査を行い、曝露要因の把握を行う他、愛知県がんセンター中央病院のカルテ情報、院内がん登録情報などとの照合により臨床情報の把握も定期的に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コホート研究データ管理のためのデータベースの構築に関するシステム開発費として予算を計画していた。しかし、他のシステムを流用することにより、システム開発費としての支出を大幅に抑えることができたため、次年度使用額が発生することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、追跡調査のための調査票の作成・印刷・郵送費への支出を主に予定している。また、研究参加者が増えており、研究者単独でのデータ整理等が不可能になりつつある。そのため、研究補助員の雇用に支出予定である。
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