研究課題/領域番号 |
26860431
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新井 明日奈 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50421897)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 認知症 / 介護 / 高齢者 / 社会医学 / 社会福祉 |
研究実績の概要 |
本研究は、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設および認知症対応型共同生活介護(グループホーム)(以下、介護施設等)における認知症高齢者の行動・心理症状(BPSD)の時点/期間有症率とその関連因子を明らかにするために、3年間の研究期間で縦断研究を実施するものである。本年度は、以下のとおり実施した。 1. BPSDの有症率に関する文献調査:MEDLINE、医学中央雑誌等のデータベースを用いてBPSDの評価尺度、有症率および関連因子に関する国内外の文献の網羅的レビューを行ない、情報収集した。 2. 調査対象施設への協力依頼:北海道内の4つの介護老人福祉施設、2つの地域密着型介護老人福祉施設、3つの介護老人保健施設、1つのグループホームの計10施設に調査協力を依頼した。 3. ベースライン調査の準備:10施設の入居者(688人)のうち、認知症に罹患している高齢者(推計602人)のご家族等(代諾者)に調査協力依頼状と同意書の送付( 一部発送準備中)を行なった。 4. 質問紙の作成(介護施設等職員記入用):BPSDの症状の有無、重症度および介護負担度、個人因子(性、年齢、婚姻状況、職業、入居時期、入居前の居住場所等)、要介護度、認知症高齢者/障がい高齢者の日常生活自立度、認知症の基礎疾患、現疾患、服用薬剤、日常生活動作、認知機能、環境因子(居室人数、施設での定期的活動、日中の過ごし方、他者との関係性、家族・友人との交流頻度、ここ1か月の健康・生活面での大きな変化等)、および回答者情報に関する質問項目を設けた。その他、施設情報(人員配置、入居条件、レクリエーション等)についても別途聞き取り用質問票を作成中である。さらに、調査に協力頂く介護施設等職員から質問紙の改善点等の意見収集を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、BPSDに関する文献検索を実施し、国内外での知見を整理することができた。さらに、質問紙で用いるBPSDの尺度について、国内外での使用状況を確認し、当該研究に適した尺度を決定した。 調査対象施設および対象者の選定にあたっては、当初、道内の全施設から無作為抽出した施設において、認知症を有している入居者の方々から50%の割合で抽出する予定であった。しかし、回答率確保と施設ごとの対象者の抽出条件を一定に揃えることが容易ではないことが懸念されたため、先行研究を参考に当該調査で必要な対象者数を500人と算出し、最初に研究協力への承諾を頂いた施設から紹介を得る形で対象施設を増やし計10カ所の介護施設等から承諾を得た。現在、認知症を有する入居者のご家族等代諾者に調査依頼状を送付しているところである。 また、介護施設等職員に、質問項目や回答選択肢について聞き取りを行ない、質問紙の改訂を重ねた。 以上のとおり、平成26年度は、交付申請書における計画におおむね沿ってベースライン調査の準備を着実に進めることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度の研究成果を踏まえ、ベースライン調査を下記のとおり実施する。 1. ベースライン調査の実施(平成27年4月~9月):調査対象者数として認知症高齢者約500人(「コホート」とする)を目安に、さらに対象施設の拡大を図り、協力依頼を行なって対象者数確保に努める。対象者の代諾者から同意が得られた方を対象に、各施設において、介護担当職員に質問紙を配布し回答を得る。 2. ベースライン調査の解析(平成27年6月~平成28年3月):質問紙を順次回収し、得られた回答をコンピューターに入力する。統計ソフトを用いて、介護施設等の認知症高齢者におけるBPSDの時点有症率の推定と、BPSD全体およびタイプ別有症率の関連因子の検討を行なう。 3. ベースライン調査結果のフィードバック:各施設に対し、分析結果を報告する。 4. 追跡調査質問紙の作成:ベースライン調査で使用した質問紙と基本的に同様の内容とする。追跡調査にあたって必要事項を修正する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、本年3月に執行済みであるが、支払いが4月となるために生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は既に執行済みであるため、次年度助成金については変更なく計画に沿って使用する。
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