研究課題/領域番号 |
26860432
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
安部 加奈子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80588955)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 睡眠時無呼吸症候群 / 妊娠 / 妊娠高血圧症候群 / 妊娠糖尿病 / 胎児発育不全 |
研究実績の概要 |
妊娠中の睡眠障害はよくおこる事象であり、その一型である睡眠時無呼吸症候群(SAS)と妊娠との関連についての報告はわずかである。SASは周期的な低酸素状態の代償として交感神経系が刺激され高血圧や耐糖能異常を発症することが知られており、妊娠においても母体の妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の発症リスク上昇や胎児低酸素による胎児発育不全を発症することが推測される。SASと妊娠の関連を研究することでこういった母児の疾病予防や治療につながると考える。本研究では、日本人妊婦のSAS頻度、妊婦におけるSASスクリーニング妥当性、SAS合併妊婦のCPAP療法有用性、妊娠高血圧症候群および妊娠糖尿病、胎児発育不全妊婦のSAS検査と治療による周産期予後改善の有無の4つを解明することを目的としている。 平成26年度は、筑波大学附属病院臨床研究倫理審査委員会に本研究を申請し承認を得た。筑波大学附属病院産科外来を妊娠初期に受診した日本人妊婦全例を対象に研究への参加について説明をして、同意を得られた方を随時登録している。妊娠初期と中期にスクリーニング検査としてESSスコアを用いて睡眠時無呼吸症候群(SAS)疑い症例を抽出し、夜間パルスオキシメーターでSASの診断を行っている。現時点でSAS診断された症例は2例であり専門医にコンサルテーションを行いポリソムのグラフィーでと重症度判定を行っているところである。SASの治療を開始した症例はいまのところはない。 また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、胎児発育不全と診断された疾患妊婦全例を対象に、本研究の説明を行い同意を得られた症例に対して、上記疾患の診断された時点での夜間パルスオキシメーター検査を行っている。現時点でSASの診断がついた症例は1例であるが、専門医診断を拒否しており治療介入症例はない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は概要でも記載した通り、対象症例の収集とスクリーニング検査を行っていくことが中心であり、順調に症例数を集積できている。スクリーニング検査からSAS診断に至る症例も収集できており、このペースで研究が進んでいけば研究の目的は達成できると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度も平成26年度と同様に、症例の集積およびESSスコア、夜間パルスオキシメーターによるSAS診断、その後のポリソムノグラフィーによる重症度診断、CPAP療法による治療介入を続けていく。さらに、対象症例の周産期予後が判明した時点で筑波大学周産期グループのデータベースから予後データを収集する。 平成28年度は、得られた症例のデータを解析して、日本人妊娠女性におけるSASの有病率を明らかにする。またSASと関連のある母体リスク因子抽出も行う。さらに、ESSスコアの日本人妊婦における感度等を解析しSASスクリーニング妥当性を評価する。SASと診断された妊婦のCPAP療法後のESSスコア、夜間酸素飽和度、母児周産期合併症などを解析し、その治療の有用性を明らかにする。また、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、胎児発育不全妊婦におけるSASの合併頻度を明らかにする。そして、これらの疾患妊婦をSAS群と非SAS群にわけ、疾患コントロールや母児周産期予後などを統計学的に比較検討し、これらの疾患に対するSASの影響を明らかにする。
|