• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

胎生期DEHP曝露による慢性炎症を基盤とした生活習慣病進展メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 26860437
研究機関名古屋大学

研究代表者

林 由美  名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30632707)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード胎生期低栄養 / 生活習慣病
研究実績の概要

胎生期フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)曝露は母親の低栄養を引き起こし、離乳後の仔の摂食行動を亢進させる。この状態は肥満をはじめ、種々の生活習慣病となり得る。生活習慣病は慢性炎症を病態基盤としていると考えられており、またDEHP曝露によって活性化される核内受容体PPARαは脂肪蓄積・炎症の制御因子であることから、DEHP曝露は胎生期低栄養から摂餌量増加、慢性炎症、生活習慣病へ進展する可能性がある。本研究では、胎生期DEHP曝露が慢性炎症を経て生活習慣病へ進展する過程の分子基盤を明らかにし、胎生期化学物質曝露と生活習慣病との関連を明らかにすることを目的とした。
【方法】12週齢雌雄の野生型マウスに0、0.01、または0.05%のDEHPを餌に混ぜ投与した。4週間後、同投与量のマウスを交配し、仔が離乳するまで曝露を続けた。離乳後は通常食に戻し自由摂取させた。摂餌量および体重は経時的に計測し、30週齢で解剖し、肝臓および血液を採取した。
【結果】0.05%曝露群では新生児死亡率は上昇した。離乳後の体重を1週間毎に測定したところ、すべての群において有意な変化は認められなかった。0.01%曝露群では、Control群に比べ離乳直後から摂餌量の増加が認められたが、20週齢以降でControl群と同程度となった。一方、0.05%曝露群の摂餌量は観察期間を通してControl群と同程度であった。
また、27年度計画の肝臓における炎症状態評価として使用できる可能性のある新規分析法についての検討も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

胎生期DEHP曝露は新生仔の生存率を減少させることから、必要数の仔マウスをサンプリングするために予想以上の親マウスが必要となった。そのため、動物実験に予定より多くの時間を費やした。また、曝露群を当初の計画の2群から3群に追加したことから当初の計画からはやや遅れている。しかし、曝露群を追加したことで、容量依存的な影響について検討することが可能となり、また、27年度計画予定の肝臓における炎症評価として使用できる可能性のある新規分析法の検討も追加で行った。
曝露期間はほぼ終了しており、今後、順次サンプリングをし、計画を進めていく。

今後の研究の推進方策

曝露期間はほぼ終了しており、順次血液および肝臓のサンプリングを行う。血液サンプルを用いて血糖値やトリグリセライド、コレステロール等の測定を行い生活習慣病の発症の有無について検討する。また、これらに影響が認められた場合、合成や代謝に関連する因子の遺伝子またはタンパク発現量についてリアルタイムPCRまたはWestern Blot, ELISA等により計測し、脂質・糖質濃度への影響について検討する。
さらに、成熟期における影響について慢性炎症の関与を検討するため、生後2日目または離乳期における炎症状態を評価する。炎症に関連する遺伝子およびタンパク発現量を測定し、影響が見られた場合は病理標本を作製し炎症をスコア化し評価する。さらにPPARαとの関連について評価する。

次年度使用額が生じた理由

本年度の計画では動物実験を行い、採取したサンプルを用いて脂質および糖の測定を行う予定であった。しかし、妊娠期DEHP曝露は仔の生存率を減少させることから必要数のサンプルを採取するために予想より多くの動物が必要となった。その結果、サンプリングが本年度で終了できず、脂質および糖の測定が次年度の課題となったため、これらに関連する費用が次年度使用額として生じた。

次年度使用額の使用計画

動物実験から得られたサンプルを用いて血糖値、トリグリセライドやコレステロールなどの脂質の測定、およびこれらに関連する因子の遺伝子およびタンパク発現量解析を行う。次年度使用額はこれらキットや発現量解析に関連する試薬の購入費用に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Intact metabolome analysis of mice liver by probe electrospray ionization-tandem mass spectrometry (PESI-MS/MS)2015

    • 著者名/発表者名
      Yumi Hayashi, Kei Zaitsu, Tasuku Murata, Hiroki Nakajima, Tamie Nakajima, Hitoshi Tsuchihashi, Akira Ishii, Tetsuya Ishikawa.
    • 学会等名
      63rd American Society for Mass Spectrometry Conference
    • 発表場所
      St. Louis, Missouri
    • 年月日
      2015-05-31 – 2015-06-04
  • [学会発表] 胎生期DEHP曝露がグルコースとレプチンに与える影響2015

    • 著者名/発表者名
      林 由美、伊藤 由起、那須 民江
    • 学会等名
      第85回日本衛生学会学術総会
    • 発表場所
      和歌山
    • 年月日
      2015-03-26 – 2015-03-28
  • [学会発表] フタル酸ジ-2-エチルヘキシル曝露による胎生期・発達期毒性2014

    • 著者名/発表者名
      林 由美、伊藤 由起、那須 民江
    • 学会等名
      第41回日本毒性学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2014-07-02 – 2014-07-04
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi