研究課題/領域番号 |
26860442
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研究機関 | 千葉科学大学 |
研究代表者 |
畑 明寿 千葉科学大学, 危機管理学部, 講師 (10433690)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 海藻 / 有機ヒ素化合物 / 消化液 / 化学形態別分析 / HPLC-ICP-MS / HPLC-TOF-MS |
研究実績の概要 |
海産食品に含まれる有機ヒ素化合物の健康リスク評価は十分には行われていない。本研究はリスク評価に有用な情報を提供することを目的に、海産食品に多く含まれるアルセノシュガー(AsSug)や脂溶性ヒ素といった有機ヒ素化合物の代謝機序をin vitro実験により明らかにすることを目標としている。平成26年度は海産食品中有機ヒ素の人工消化液への溶出、そして溶出したヒ素の化学形態変化について検討を行った。 被験食品は食用乾燥ワカメとした。なお用いたワカメの総ヒ素含有量は30.2 mg/kg dryで、HPLC-ICP-MSとHPLC-TOF-MSによる化学形態別分析によりAsSug328、AsSug482、アルセノリン脂質、アルセノ炭化水素が検出された。 人工胃液への溶出試験の結果、曝露4時間後のヒ素溶出率は13%となり、これは対照群である蒸留水への溶出率(15%)と同等であった。人工胃液を中和したのち人工胆汁を加えて溶出試験を行った結果、人工胆汁曝露4時間後における溶出率は27%となり、蒸留水への溶出率(20%)と比べ高値となった。人工胃液に溶出したヒ素の化学形態分析を行った結果、被験ワカメに含まれていたヒ素化合物のうちAsSug328とAsSug482は検出されたが、アルセノリン脂質とアルセノ炭化水素は検出されなかった。この他に、ワカメ含有ヒ素の分解物と思われる未知のヒ素化合物が数種検出された。人工胆汁中のヒ素化学種は人工胃液と同様であった。以上の通り、今年度はワカメ含有ヒ素の人工消化液への溶出および溶出したヒ素の化学形態変化について知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は交付申請書に記載した研究実施計画に沿った内容で研究を実施することができ、研究目的も概ね達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も当初の研究実施計画に沿って研究を実施する。その中でもヒト腸内細菌叢が海産食品中ヒ素の化学形態に与える影響について重点的に検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品および旅費への支出が当初の計画よりも抑えることができたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した助成金は、平成27年度から開始する細菌を用いた研究の消耗品購入およびHPLC-TOF-MSによるヒ素化学形態別分析外注費に充てる計画である。
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