研究課題/領域番号 |
26860443
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岩澤 聡子 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師(学部内) (10570369)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | インジウム / 生物学的モニタリング / 個人曝露濃度 |
研究実績の概要 |
これまでに小規模ITO 研削専門事業所の協力、特化則から除外された金属インジウム取扱事業所の協力が得られ、吸入性粉塵中のインジウム個人曝露濃度(In-RD, μg/m3)と生物学的モニタリング指標が測定できた。これらの事業所では特段の作業環境管理はされておらず、呼吸用保護具の着用は無いか効果的な呼吸用保護具が使用されていなかったこと、曝露濃度が低く作業者の肺蓄積インジウム量は少ないことが期待されることから、In-RD と生物学的モニタリング指標の量影響関係がある程度正確に評価できる可能性がある。 結果については分析・集積中であるが、中間解析では、曝露濃度と生物学的モニタリングの両方を測定できた41 名を解析対象とした。ただし41 名中1 名は過去曝露が明らかであったため除外した。In-RD は、PM-4 NWPS-254 型分粒装置(柴田科学)または吸入性粉塵用サイクロンGS-3 Respirable Dust Cyclone (SKC Inc.)で吸入性粉塵を捕集し、8時間荷重平均インジウム濃度を計算した。捕集フィルターおよび血清中のインジウム は酸添加マイクロウェーブ分解後にICP-MSで測定した。 単回帰式は、In-S=0.307×In-RD+0.179 (p<0.001)、単相関係数は、0.872 であった。In-S のOEL-B の3μg/LからのIn-RD の逆推定値 (95%CI) は、9.19 (7.82-10.6)と計算できた。In-RD と生物学的モニタリング指標の間には量影響関係が示唆された。 さらに対象数を増やすために調査を継続し、最終的には許容濃度設定のための基礎データを作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は、下記の研究目的に由っており、おおむね順調に進展していると考える。 インジウム曝露者コホートを用いて、作業環境測定・個人曝露濃度測定を行い、すでに設定されている生物学的許容値と比較し、許容濃度設定のためのエビデンスを作成することである。本年度は、山形県の1事業所で環境・曝露濃度測定が実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は疫学調査であり、研究内容、研究費の用途ともに平成27年度も平成26年度同様に本研究調査(環境評価:個人曝露濃度および作業環境濃度。生物学的モニタリング指標:血清インジウム濃度。)を推進継続していく予定である。 平成27年度末には、成果報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額の発生は、購入予定であった分析消耗品について、効率的な物品調達を行うため、部分的に翌年度にまとめて消耗品購入することにしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度申請する研究費は、作業環境測定および個人曝露濃度測定に係る消耗品、分析費用、血清インジウムの分析費用、対象工場までの旅費・宿泊等に充当する予定である。
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