研究課題/領域番号 |
26860446
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
今村 晴彦 東邦大学, 医学部, 助教 (40567393)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地区組織活動 / ソーシャル・キャピタル / 医療費 / ADL |
研究実績の概要 |
本研究は、住民による地区組織活動に着目して、地域のソーシャル・キャピタルと健康の関連について明らかにする疫学研究である。 平成28年度は主に、長野県須坂市、群馬県高崎市倉渕町、長野県小海町の3市町において、前年度までに実施した調査結果の公表作業を実施した。 須坂市については、平成26年に65歳以上の住民13,846名を対象として実施した、保健補導員活動に着目した質問票調査(回収率77.7%)の結果について、市から提供を受けた国保医療費等のデータ(連結可能匿名化データ)を連結した。分析の結果、保健補導員を経験した女性はそうでない女性と比較して、特に入院医療費が低いこと、さらに、ADLも良好であることが示された。これらの結果について、国際学会での発表、および論文発表を実施した。 倉渕町については、平成17年から実施されている、65歳以上の住民を対象としたコホート研究のデータセットを用いて、ソーシャル・キャピタルとADLとの関連を分析した。分析の結果、個人レベルの地域参加とADL維持の正の関連、地域レベルの信頼とADL維持の負の関連などが示された。この結果について論文発表を実施した。 小海町については、平成27年度に40歳以上の住民3,112人名を対象として実施した、市の保健推進委員活動に着目した質問票調査(回収率67.6%)について分析をした結果、保健推進委員活動等の「つながり」と血圧計の所有・使用に概ね正の関連があることが示された。この結果について、国内学会で発表を実施した。 さらに、福島県郡山市では、保健所が主体となって、地区組織活動の育成に関わる検討会を平成26年度から実施しており、検討会にアドバイザーとして参加している。これまで、地区組織活動のPRパンフレットや、活動の手引きを作成し、関係者に配布した。これらの活動成果について、国内学会で発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
須坂市、倉渕町、小海町それぞれについて、当初の研究計画が概ね実現し、調査結果を論文や学会発表等で公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、主に調査結果の公表を実施した。次年度は引き続き、未発表の分析結果についての発表を実施していきたい。また、次年度は、本研究の対象地域である宮城県栗原市において、平成23年度および26年度に実施した、ソーシャル・キャピタルや地区活動と健康に関する高齢者調査の第3回調査を実施する可能性がある。調査が実現すれば、これまでの2回の調査と連結した縦断解析を実施し、より長期間における、ソーシャル・キャピタルおよび地区組織活動と健康の関連を検証したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に実施した質問票調査の実施に関わる費用(質問票印刷費、郵送費、データ入力費)について、当初予定していた額を抑えることができたため、本年度も引き続き次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、引き続き、研究成果についての公表や住民への還元を実施するため、その費用(学会発表費用、論文投稿料、報告書作成費等)に充当する。さらに、宮城県栗原市において、平成23年度および26年度に実施した、ソーシャル・キャピタルや地区活動と健康に関する高齢者調査の第3回調査を実施する場合は、調査に必要な調査票印刷費用、送料などの費用に充当する予定である。
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