研究課題/領域番号 |
26860451
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
西 真理子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70543601)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コミュニティ感覚 / 孤立感 / 地域介入 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域高齢者の「コミュニティ感覚」の向上を目指した地域介入研究を行い,その効果を明らかにすることである。初年度は、介入前のベースライン調査を実施した。当初の予定では65歳以上の市民を対象にベースライン調査(調査1)のみを実施する予定であったが、当該地域(W市)の行政との協議等を経て、年齢層の幅を広げた調査(調査2)も実施することができた。調査1の対象は65歳以上の市民5,000人、調査2の対象は20歳以上の市民7,000人(20歳以上6,000人、65歳以上1,000を無作為抽出)であり、両調査の主な違いは、対象年齢の幅と調査に用いた質問項目であった。 調査1:これまでW市では、定期的に65歳以上の市民を対象とした「日常生活圏域ニーズ調査(健康寿命100)」を実施している。本年度は、ニーズ調査の基本項目に加え、本研究課題で取り上げる社会的変数も3つ含め(地域に対する主観的評価や孤立感、今後孤立することへの不安の程度)、市と共同で調査を実施した(回収率78.8%)。 調査2:本研究課題で取り上げる社会的変数としては、コミュニティ感覚尺度、地域の物的環境に対する評価、今後の地域生活や孤立に対する不安の程度を調査項目として用いた(回収率43.8%)。 W市では、高齢者施策の介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画において,平成18年度から3つの圏域を設定し,圏域ごとの課題をとらえその地区の特性や課題に応じた多様なサービス提供を行っている。本研究においても、この3つの圏域区分に従い地域介入および分析を行う。介入を開始するにあたって、ベースライン調査のデータを分析したところ、調査1および調査2の両方においてそれぞれの地区の特性が確認された。全体的にみて、居住地域に対する主観的評価が良い地区は、その他の社会的変数においても全体的に良好な傾向にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ベースライン調査の実施後、本年度中に介入を開始することを計画していた。しかしながら、結果的に介入を開始することが出来なかった。 介入開始に至らなかった理由は、調査時期が当初予定していた7月から10月末にずれ込んだこと、また当初は予定していなかった年齢幅を広げた調査2を実施したことによるものである。調査時期の変更によりその後の計画を先送りしたのに加えて、予定外の調査2の実施にかかり作業量が増えたこと、また実施後の調査結果の概要(W市に提出)にかかる作業量も増えたことで、その他の計画を先送りすることとなった。 以上、計画通りに達成できなかったという反省はあるが、当初予定していなかった調査2を実施することが出来た。地域には高齢層だけでなく、多くの世代が居住しており、対象人数は多くはないが、地域介入の効果を世代別に分析できることの意義は大きいものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、対象地区の市職員との協議を進め、介入を開始する。介入を遂行する上で、定期的に対象地区の市職員と連絡を取り、共通認識を構築することに努めるとともに、介入に関わる住民の募集を円滑に進める必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、ベースライン調査の実施後に介入を開始することを計画していた。しかしながら、結果的に介入を開始するに至ることが出来なかった。本年度分の助成金は、ベースライン調査の実施の他にも、介入の中で必要となる物品や謝金等に使用することを計画していたため、次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、地域介入を開始する。次年度に請求する助成金(次年度使用額と翌年分請求額)は、主として介入の実施中に必要となる費用に使用する予定である。具体的には、消耗品として、資料の用紙購入や印刷に必要なインクトナー、文具類、人件費として、資料収集や整理、介入準備等、本研究の補助人員への謝金費を適宜申請する予定である。また、介入のほかにも、研究遂行のために必要な書籍・文献複写費や、旅費として、研究打合せや調査地への出張、研究成果の発表および情報収集のため国内学会出張や国際会議出張の出張費を申請したい。 以上,研究の遂行から研究報告に至るまでに必要な経費に助成金を使用する計画をたてている。
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