研究実績の概要 |
本研究の目的は,地区を単位とした非無作為化比較試験により地域高齢者の「コミュニティ感覚」(居住地域や近隣に対する意識や態度)の向上を目指した地域介入研究を行い,その効果を検討することである。研究3年目の最終年度は地域介入を継続しつつ,効果評価のための追跡調査を実施した。 1.地域介入:住民,行政,研究者の他,印刷業者(デザインの専門職)にも定例会に参加していただき,地域介入のツールとなる「介入地区の見どころを載せたウォーキングマップ」が完成した。マップを活用した地域介入は,ウォーキングのイベント(定例会の参加メンバー主催)やウォーキング教室(定例会メンバーではない市の他部署が開催)の開催によって行われた。また,マップの配布のみでも地域介入の一手段になることから,広報やサポーターの口コミでマップの存在を周知し,実際に足を運んできた住民に直接手渡した。その他,市の開催する健康講座などでもマップを紹介し,住民に配布した。 2.追跡調査:介入前に実施した2つの初回調査の追跡調査を実施した。調査1では,初回調査回答者のうち,死亡・転出・要介護3以上等の者を除いた2687名を対象に調査票を送付し,2,403名より返答があった(回収率89.4%)。調査2では,初回調査回答者で65歳以上の者のうち,死亡・転出・要介護4以上の者を除いた631名を対象に調査票を送付し,575名より返答が得られた(回収率91.1%)。 3.地域介入の効果:分析の結果,居住地区の地域環境に対する評価項目の1つで介入前後の有意な変化が認められた。しかしながら,その他の評価項目では有意な変化は認められなかった。
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