研究実績の概要 |
日本(札幌、相模原、金沢、北九州、大阪)、韓国(釜山)及び中国(北京)にて冬季及び夏季に捕集した大気粉塵(PM)中のデクロラン類(DP,Dechlorane602, dechlorane603,Dechlorane604 Component A)を分析した結果、DPのみが検出された。総DP濃度(syn-、anti-の合計)は札幌>相模原 >北九州 > 金沢 > 北京 > 釜山の順に高かった。日本の5都市のDP濃度を各都市の人口と比較したところ良好な相関がみられた。DPの発生要因がその地域の人々の生活に関係しており、家庭用品や電線のケーブルなどを発生源としていることが示唆された。また、大阪にて10月及び1月にPM0.1大気サンプラーを使用し、PMを6段階(>10 μm,10~2.5 μm,2.5~1.0 μm,1.0~0.5 μm,0.5~0.1 μm,<0.1 μm)に分けて採取した。PMはその粒子径により大きく3つ(粗大粒子,蓄積モード粒子,及び核形成モード粒子)に分けられ、主に0.1~1.0 μm付近に質量濃度分布を有する蓄積モード粒子は長距離移動性を有する。PM及びDPの粒径別濃度分布は時期により異なる傾向がみられ、10月に採取したPMに比べ1月に採取した試料では10~2.5 μm画分においてPMの濃度分布割合が減少した一方,2.5~1.0 μm,1.0~0.5 μm,0.5~0.1 μmの主に蓄積モード粒子においてPMの濃度分布割合の上昇がみられた。一方でDPは1月に採取した試料では2.5~1.0 μm画分ではPMと同様に濃度分布の上昇がみられたものの蓄積モードではPM程の濃度分布割合の上昇は見られなかった。このことからもDPの国内大気汚染は越境汚染の影響に比較し、国内汚染源からの影響が大きいことが示唆された。
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