塩素系難燃剤であるデクロラン類について我が国の大気汚染実態を明らかにするとともに、海外諸国の大気粉塵試料についても分析を行い、各国の汚染状況の差異を明らかにした。対象としたデクロラン類のうちデクロラン・プラスのみが検出され、日本における都市大気中濃度と各都市の人口の間には有意な相関性がみられた。また、大気粉塵を粒子径別に捕集した試料を分析することにより、どの粒径画分にデクロラン類が多く存在するのか、また大気粉塵濃度との関係性、季節変動を明らかにした。これらの結果より、我が国における大気中デクロラン類は越境汚染を原因とするよりも、むしろ国内にその発生源を有することが示唆された。
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