従来、日本国民の風疹ウイルスに対する免疫状態はHI抗体価で評価されてきた。しかし、感染防御免疫の最も直接的な指標は中和抗体価である。そこで本研究では、国民の免疫状態を市中流行株 (Genotype 1E, 2B) に対する中和抗体価に基づき評価した (n=101)。ワクチン株に対する幾何平均中和抗体価 (GMT) は、25.0倍であった。一方で、Genotype 1E及び2Bに対するGMTは、それぞれ12.9倍、6.3倍とワクチン株に対するGMTと比較し有意に低かった。本解析結果から、国民の持つ中和抗体は、市中流行株に対して完全な交差反応性を示さないことが明らかになった。
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