本研究では,既存の医師コホートに対しWebコンピュータ支援型自記式調査を実施し,社会経済的背景や,職業満足度等の医師の個人特性情報に関するアンケートを実施し,それらの因子が医師の勤務地選択や,病院診療所などの職場選択,専門医取得等の,医師のキャリア選択に与える影響を定量的に評価し,国内における医師の分布や,専門間の偏りが生じているメカニズムを明らかにし,国内の医療政策の向上に貢献すること,そして,国外に日本の医師キャリア選択過程を明らかにすることで,国外の医療制度設計に資する事を目的とし研究を実施した。 医師のキャリアパスの構築は、近年様々な変化に面している。特に2018年からは専門医制度が変更となる。すでに、医師の都市部への移動などの作用が指摘されているが、これに伴う医師のキャリア選択にも変化が想定される。 今年度、医師パネル提供会社を介し専門医取得前医師に対するWeb アンケートを行い、医師の有する社会経済的ファクターが専門医取得という医師の重要なキャリア選択に対し、どの様な影響を与えうるかを検証した。測定した社会経済的ファクターは、性別や年齢などの基本情報に加え、出身大学の種別や、配偶者や子供の有無、年収、居住地域の特性、医局所属の有無や、所属医療機関の特性などである。また、医師個人の持つリスクに対する態度(risk-behavior) がキャリア選択に対してどの様な影響を有するかも検討した。 調査は東京大学医学部倫理委員会の登録を取得した上で実施し、専門医未取得の医師168名から回答を得た。
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