司法解剖にて得られた心筋とヒト由来 RBM3 に対する抗体を用いて共免疫沈降法を行いウェスタンブロッティングによりリボソームを検出する。発光量の定量化を行い、RBM3発現の指標とし、死戦期の状態との関連性を抽出する。 リボソームの結合部位の同定と親和性を解析・定量化し、また結合によるリボソームの安定性の評価を行う。最終的にはRBM3が直接細胞増殖に寄与するかどうか、培養細胞を用いて評価をおこなった。 RBM3 とリボソームの会合がどのような意義を持つのかについて解析を検討した。 まず、RBM3 の結合の有無によるリボソームの安定性を調べる。蛍光スペクトルや円二色性変偏光を解析することによりタンパク質の構造変化を解析することができるが、この手法を用いて、RBM3 結合時と非結合時におけるリボソームや翻訳複合体の安定性の差を解析する。さらに、この会合が翻訳にどのような影響を与えるか in vitro により確認する。ヒト由来の無細胞翻訳系を構築することは困難であると予想されるが、ウサギ由来の無細胞翻訳系は市販されており、ウサギ由来 RBM3 を用いて影響を解析を検討した。 RBM3 が翻訳複合体を安定化させたり、翻訳効率を促進させたりすることを予想しているが、そのような作用が細胞増殖にどのような影響を与えるかについて解析する。RBM3 を過剰発現させた培養細胞とコントロールの培養細胞について、増殖速度の差を解析を検討した。 細胞内におけるRBM3の定量化及び機能解析を行うことは、死因究明に役立つのみならず、臨床腫瘍学の分野においても新しい可能性が示唆される可能性がある。分子生物学、法医学、臨床腫瘍学において、新しい見地を見出し得る研究であると考えている。
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