研究実績の概要 |
精液特異的脱メチル化領域DACT1について、TaqManプローブを用いた定量的解析法の確立及び検証を行った。DACT1遺伝子領域の3個のCpGサイトに対応する1組の蛍光標識プローブペア(メチル化検出プローブ及び脱メチル化検出プローブ)、プライマー及びリアルタイムPCR装置を用いて、当該CpGサイトが0,30,50,70,100%メチル化されたDNAを解析した。算出されたCt値をもとに、メチル化度を計算したところ、おおむね予測された値が算出され、本検出系による定量的解析が可能であることが確認された。さらに、各種体液(精液、血液、唾液、膣液、n=5-9)や陳旧斑痕(29年経過精液斑; n=7、29年経過血痕; n=7、2年経過唾液斑; n=1)等の様々な資料から抽出したDNAを用いて本検査法で解析を行った。その結果、すべての試料で少なくともいずれかのプローブのシグナルが検出され,精液及び精液斑においてほぼ0%、それ以外の体液及び斑痕においてほぼ100%のメチル化率であった。また、解析を行った陳旧精液斑については、従来法との比較のため、酸性ホスファターゼ活性を指標とした検査、顕微鏡による精子検査を行った。その結果、一部の陳旧精液斑については、酸性ホスファターゼ活性が認められず、尾部を伴う完全な形の精子が観察されないものがあった。以上の結果から、本検査法は、従来の検査法と比較しても陳旧に強く、有用な検査法であることが示唆された。
|