研究課題
精液特異的脱メチル化サイトDACT1及び血液特異的メチル化サイトcg06379435を指標とした、リアルタイムPCRによる精液及び血液証明法について、引き続き検証を行った。cg06379435検出系については、昨年度血液判定閾値となるメチル化率を設定していたが、DACT1検出系については、精液判定の基準となるメチル化率が未設定であったことから、本検査法を用いて多検体の各種体液を解析し、精液判定閾値を設定した。設定した閾値について、各種体液斑痕で検証したところ、いずれの試料においても正しく判定が行われた。さらに、検出感度を検証するため、両検出系について、それぞれ精液DNA及び血液DNA希釈液を用いて解析を行った。その結果、両検査系ともに1ngのDNAから精液及び血液の証明が可能であった。続いて、他体液種試料の混合の影響を検証するため、血液DNAと精液DNAをさまざまな割合で混合し、どの程度まで精液及び血液証明が可能か予備的な検討を行った。この検討に際し、上述の多検体解析において、DACT1は他の体液でほぼ完全にメチル化されていたため、混合精液判定用の閾値を設定した。その結果、DACT1では80%の血液DNAが混合した試料からも精液証明が可能であった。一方、cg06379435検出系については、精液DNAが半分程度混合した試料からも、血液証明が不可能となり、実務における混合試料からの検出は困難であることが想定された。そこで、この問題に対する一つの対応策として、cg06379435とその近傍に位置する一塩基多型部位(rs7359943)を同時に解析可能なバイサルファイトシークエンスによる検査系を確立した。本手法により、アリル特異的なcg06379435のメチル化率の解析が可能となり、条件は限られるものの、混合試料からの血液証明における有効な一手法となることが期待された。
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