平成26年度では、緩和ケア情報システム(Palliative Care Information System; PCIS)の情報とがん登録内容の共通事項の調査と予後予測に関連する因子の検討を行った。 (1) PCISの情報とがん登録内容の共通事項の調査 当施設で日常緩和ケア診療に既に利用している情報、即ち患者の原疾患、病変部位(遠隔転移の有無、その部位)、担当科(緩和ケアチームへの紹介元)、今までの治療内容、今後の治療方針、症状(身体的症状、精神的症状)、使用薬剤、合併症、在宅環境、家族環境などの項目からなるPCIS情報と、がん登録で必要な項目を比較検討し、がん登録で必要な情報がPCISに全て含まれているかを確認した。その結果、診断情報としては、診断時の住所、来院経路、腫瘍情報については、TNM分類、組織診断名などについてはPCISでは情報が不十分であることがわかった。 (2) 予後予測に関連する因子の検討 当施設において緩和ケアチームが実際に介入を行った症例データから、予後と関連のある因子抽出を開始した。具体的には、緩和ケアチーム介入時の臨床データの中から、それぞれの疾患別に予後と関連のあると予測される項目(BMI;Body mass index、全身状態、腹水の有無、経口摂取の割合、浮腫の有無、酸素吸入の有無、血液データなど)と実際の予後を比較検討することで、疾患ごとの予後関連因子を検討するものである。現時点では、胃がんについては予後関連因子について解析が終了している。
|