本研究は、緩和ケア情報システム(Palliative Care Information System; PCIS) を発展させ、これを利用したがん登録システムを構築するとともに、従来では不足していた進行期・終末期の情報を詳細に集約したシステムとすることで、より正確な予後予測研究が行えるようなデータベース構築を目指すことを目的とするものである。診断時からの早期緩和ケアが予後改善に寄与するという報告がなされて数年たち、本邦でも早期緩和ケアが推進されている。PCISを利用することで今後の緩和ケア普及に貢献すると同時に、これを利用する施設でのがん登録・予後予測研究が進み根拠に基づく治療(Evidence based Medicine;EBM)の発展に寄与することができると考えた。本研究の目的を達成するため、以下の手順で研究を進めた。 (1) PCISの情報とがん登録内容の共通事項の調査を行う。当施設で日常緩和ケア診療に用いている情報からなりPCISの項目とがん登録で必要な項目を比較検討した。 (2) 予後予測に関連する因子の検討を行った。当施設において緩和ケアチームが実際に介入を行った症例データから、疾患ごとに予後と関連のある因子を抽出することを試みた。 (3) PCISを利用したがん登録のデザイン作成する。 (4) 作成したがん登録システムの試験的導入し、その操作性や実用性を検証する。といったことについては、院内でのがん登録システムが機能し始めているため、具体的な作成・検証を実施することは困難だった。しかし、今後院内での電子カルテシステム変更が予定されていることから、今後作成・検証を行う方向で準備を進めているとことである。
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