研究課題
本研究は、本邦の終末期がん患者における「終末期の治療の目標や過ごし方に関する話し合い(End-of-Life (EOL) discussion)」が行われた頻度およびその内容を明らかにすること、EOL discussionの有無と、患者アウトカム(Quality of Life (QOL))、遺族アウトカム(抑うつ・複雑性悲嘆)との関連を探索すること、を目的とした遺族に対する調査票を用いたサーベイランス研究である。平成26年度の実績は以下の通りである:系統的文献レビューをもとに調査票を作成した。参加183施設において2014年1月31日以前に死亡したがん患者を各施設10名を連続に同定し、対象者リストを作成した。各施設より対象者へ調査票を郵送し、回答された9123件の調査票を回収した。回収したデータの入力を完了した。平成27年度は、入力されたデータのクリーニングを行い、データ固定を完了させ、データ解析を行った。解析の結果、対象がん患者の約80%に対してEOL discussionの場が持たれ、EOL discussionが持たれた患者の遺族の方が、持たなかった患者の遺族と比較してうつ病および複雑性悲嘆の発症率が有意に低いことが示された。また、遺族評価による「患者の望ましい死の達成」や「終末期に受けたケアの質」の評価も、EOL discussionが持たれた患者の遺族の方が、持たなかった患者の遺族と比較して、有意に高いことが示された。得られたデータを用い、研究発表および研究論文作成を開始した。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は、前年度に回収し入力を完了したデータの固定を用いたデータ解析を行った。解析の結果、対象がん患者の約80%に対してEOL discussionの場が持たれ、EOL discussionが持たれた患者の遺族の方が、持たなかった患者の遺族と比較してうつ病および複雑性悲嘆の発症率が有意に低いことが示された。また、遺族評価による「患者の望ましい死の達成」や「終末期に受けたケアの質」の評価も、EOL discussionが持たれた患者の遺族の方が、持たなかった患者の遺族と比較して、有意に高いことが示された。得られたデータを用い、研究発表および研究論文作成を開始した。上記の進捗状況は、当初研究計画の予定通りに進行している。
当初研究計画の予定通り、研究発表および研究論文作成を完了し、研究成果の公表を行う予定である。
平成26年度に引き続き、平成27年度の作業が予定よりも順調に進捗できたため、平成27年度の研究補助にかかわる人件費が節約できた。同様の理由で研究に関する会議開催を省略できたためその他の費用が節約できた。
研究成果の考察に関する情報収集のための国際学会参加のための旅費として使用する。研究成果の発表資料作成のために必要な書籍の購入や必文具購入を行うための物品費として使用する。研究成果の発表資料作成(校正、印刷、など)のための費用として使用する。研究成果発表のために国内・国外の学会へ参加する際の旅費として使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件)
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