本研究では、僻地・在宅医療の医師と休職中の女性専門医をつなぐITコンサルトシステムを構築して有用性を実証するとともに、僻地・在宅における専門外診療の実態を明らかにすることを目的とした。 申請者らのグループが皮膚科限定で運用している遠隔診療システムを、多くの診療科で対応できるよう改編を行った後に運用して有用性を実証するとともに、僻地・在宅における専門外診療の実態を明らかにした。 専門科は、皮膚科、整形外科(途中で離脱)、眼科、小児科。へき地の2診療所、都市部の2在宅専門クリニックで運用した。期間中、42件の患者に対する相談があり、4件の一般的な相談があった。46件の相談のうち、皮膚科が40件、眼科が3件、小児科が2件、内科(本システムを利用している在宅・へき地の医師への相談)が1件であった。合計180回のやりとり(在宅あるいはへき地からのコンサルトおよびそれに対する専門医の返答をそれぞれ1回とカウント)があり、1患者あたり平均3.9回のやりとりがあった。患者に関する相談の42件中、該当する専門科への紹介となったのが6件、軽快したのが26件、症状に変化がなかったのが5件、増悪緩回が不明のものが5件であった。 システム終了後、在宅専門診療所の医師4名、へき地の医師2名、女性の専門科の医師として皮膚科医2名、小児科医1名、眼科医1名に個別インタビューを行い、同10名から自記式質問紙の回答を得た。25名の患者から郵送無記名の自記式質問票の回答を得た。
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