研究課題/領域番号 |
26860483
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 雅雄 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10378698)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 慢性閉塞性肺疾患 / 呼吸困難 / Borg scale / 呼吸中枢 / 鍼治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は生活習慣病である慢性閉塞性肺疾患(COPD)の労作時呼吸困難のメカニズムを解明し、その対策と治療法を開発することである。本研究の申請採択時に予算減額のため予定していた研究計画を変更する必要があったため、動物実験の他に人を対象とした研究も実施している(採択時の再提出用の申請書に記載)。 ヒトを対象とした研究実績:申請者が行っているCOPDに対する鍼治療の臨床試験(UMIN000008934)において、通常治療群(薬物治療や在宅酸素療法実施等)と鍼治療群(通常治療群+鍼治療)を比較して労作時呼吸困難とQoLについて検討を行っている。H27年度は前年度に引き続き症例の集積を行っており、最終的に試験が終了していないため現状の結果では、労作時呼吸困難(6分間歩行試験後の修正Borg scale)では通常治療群(17例)Baseline 5.4±3.2(SD)から1年後5.8±3.5(SD)と変化が見られなかったのに対して、鍼治療群では(17例)Baseline 5.6±2.8(SD)から1年後2.6±1.9(SD)と改善傾向を示していた。目標症例数は40例のため、今年度も引き続き症例の集積を行って行く予定である。 動物を対象とした研究実績:昨年度12月まで実験施設(明治国際医療大学)と代表研究者との間で共同研究締結が上手く進まなかったが、12月以降実験が開始出来たため、現在実験を進めている。実績としては、電気生理学的手法を用いて、ラットの呼吸中枢(Botzinger complex)より神経活動を計測しており、現在はコントロール群の集積を行っている。本年度はさらに実験を進めて薬剤投与群(βエンドルフィン)および体制刺激群(鍼刺激)との比較を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該研究において、ヒトを対象とした臨床試験は進めているが、症例集積に際して少し滞りが認められている。目標症例数は40例であるが、現段階では35例がエントリーされているため、残りの症例数も今年度に確保していく予定である。 動物を対象とした研究では実験施設との間で共同研究締結が上手く進まなかった事が要因である。しかし、昨年度12月より実験が開始出来たため現在は実験を進める事が出来ている。今年度はその後れを取り戻すべく、急ピッチで実験を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策であるが、ヒトを対象とした臨床試験は昨年度に引き続き症例の集積を行って行く。その際に対象者が増えるように多方面への呼びかけを行う。試験終了となれば最終解析を行い、COPD患者の労作時呼吸困難の要因を統計学的手法を用いて、呼吸困難の対策を検討する。 動物を対象とした研究では、電気生理学的手法を用いて、ラットの呼吸中枢(Botzinger complex)からの神経活動を計測しており、現在はコントロール群の集積を行っているため、今後は薬剤投与群(βエンドルフィン)および体制刺激群(鍼刺激)との比較を行うとともに、同部位からサブスタンスPなどの物質を測定して、呼吸困難への対策を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は当初より2年計画で実施する予定であったが、昨年度も実験施設との共同研究締結が進まず、実験が開始出来なかったが、昨年度の12月より共同研究の締結が完了したため実験を進める事が可能となった。今後は実験が順次進むため、実験に必要な機材、薬品、解析カラム、動物の購入が発生する。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画については、本研究は呼吸困難の中メカニズムの解析を中心とした研究であるため、動物実験を実施する際の動物(ラット)や薬品類(麻酔、オピオイド、拮抗薬)、実験器具等の消耗品の購入が必要となる。また、マイクロダイアリシスの際に必要な試薬やプローブの購入も行うため。
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