研究課題/領域番号 |
26860489
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
平田 匠 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (00383795)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨密度 / アディポネクチン / 体重 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
都市部住民コホート研究である神戸研究の登録時データを用いて、日本人における高分子量アディポネクチン(HMW-ADPN)と骨密度の関連、およびその関連に対するBMIの影響につき、断面研究による検討を行った。解析対象者は、神戸研究登録者1,118名のうち、甲状腺機能異常・慢性腎臓病・欠測データありを除く993名(男性293名、閉経前女性164名、閉経後女性536名)であった。骨密度は超音波法により踵骨の音響的骨評価値(OSI; osteo sono-assessment index)を測定し、HMW-ADPNと骨密度の関連について、男性・閉経前女性・閉経後女性別に、単変量・多変量線形回帰分析により検討した。その際、HMW-ADPNは3分位で分類し、調整変数は、年齢・BMI・喫煙・飲酒・歩行習慣・eGFR・骨折の既往歴とした。その結果、男性・閉経前女性・閉経後女性のいずれにおいても、HMW-ADPN高値群では低値群と比較し、BMIが高値を示した。単変量解析の結果、閉経後女性では、HMW-ADPN高値群(>=6.96μg/mL)と比較し低値群(<4.26μg/mL)で骨密度が有意に高く(β=0.034, p=0.002)、男性においてもHMW-ADPN高値群(>=3.83μg/mL)と比較し、低値群(<2.26μg/mL)で骨密度が高い傾向を認めた(β=0.032, p=0.050)。しかし多変量解析の結果、それらの関連は消失した。一方、BMIを除く全ての調整変数で調整した場合、HMW-ADPNと骨密度は有意な負の関連を認めた。以上の結果より、HMW-ADPNは骨密度と有意な関連を認めなかったが、特に男性と閉経後女性において、HMW-ADPNと骨密度の関連はBMIにより大きく交絡していた。今後は対象者数を増やしてBMIで層別化した評価が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新規のコホート研究を実施するための基盤構築に難渋しており、新規コホート研究の実施自体が非常に困難な状況となっている。利用可能な現在進行中の前向きコホート研究のデータベースを用いた解析・予備検討は順調に進んでいるため、これを継続していくとともに、更なる研究展開として、本研究課題と関連する他コホート研究との連携も検討していく必要がある。しかし、現時点の進捗状況としては「やや遅れている」と判断するのが妥当と考える。
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今後の研究の推進方策 |
新規のコホート研究を実施するための基盤構築に難渋しており、新規コホート研究の実施は非常に困難な状況となっている。今後は利用可能な現在進行中の前向きコホート研究(主に神戸研究)のデータベースを用いた解析を継続するとともに、可能であれば本研究課題と関連する他コホート研究との連携も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規のコホート研究を実施するための基盤構築に難渋しており、新規コホート研究の実施が非常に困難な状況となっているため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は利用可能な現在進行中の前向きコホート研究(主に神戸研究)のデータベースを用いた解析を継続するとともに、保存血清を用いたメタボリック症候群・運動器症候群に関連する各種代謝マーカーの測定を検討している。また本年度は、研究結果の学会発表(国内・海外)も検討している。さらに、可能であれば、本研究課題の目的に合致する他コホート研究との連携も検討している。
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