研究課題/領域番号 |
26860491
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中本 晋吾 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90586596)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | B型肝炎 |
研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルスは肝臓に持続感染し、炎症やストレス、加齢、遺伝要因などが複雑に絡みながら慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと進展するが、本研究では主に細胞老化との関連に着目しウイルスの持続感染による肝病態発症の分子メカニズムを解明することを目標とした。 そのためにウイルス感染細胞や肝癌細胞株を用いて老化関連候補因子であるサーチュインの影響に関する機能解析、サーチュイン遺伝子が肝線維化に関与する肝星細胞の活性化や線維化に与える影響についての解析、ウイルス感染マウスないしヒト肝組織検体を用いた老化関連遺伝子の発現解析を目的としている。 本年度は前年度に引き続き肝細胞系や肝星細胞系を用いてサーチュインの機能解析を詳細に実施した。サーチュインノックダウンにより星細胞におけるアルファ平滑筋アクチンの発現量が変化し、サーチュインが星細胞の活性化に関与していることが示唆された。引き続きサーチュインノックアウト細胞の作製を開始した。ウイルス複製に与える影響についてウイルス遺伝子を導入した肝細胞系を用いて検討した。サーチュインノックダウンによりウイルス複製の変動がみられており次年度詳細を検討していく。肝細胞系を用いて細胞老化検討のための条件検討のうえB型肝炎ウイルスエックスタンパクを用いて細胞老化に与える影響を遺伝子発現、老化関連ベータガラクトシダーゼ染色により解析を行った。またウイルス感染細胞を用いて遺伝子発現を網羅的に測定し老化関連遺伝子における発現パターン解析等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はウイルス感染細胞や肝癌細胞株を用いてサーチュインの影響に関する機能解析、サーチュイン遺伝子が肝星細胞の活性化や線維化に与える影響についての解析などおおむね当初の実験計画に沿って遂行しているが、ノックアウト実験についてはクリスパーキャスナインシステム等のゲノム編集法を導入するなど一部計画に変更が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
サイトカイン測定や酵素活性測定等を次年度に行うこととなったため一部研究計画の変更が生じた。次年度はこれら試薬購入等を含めて細胞老化に関する解析を進めていく。またこれまでのデータを総括しB型肝炎の病態におけるサーチュインの機能的役割として結果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
サイトカイン測定や酵素活性測定等を次年度に行うこととなり当初購入予定であった試薬物品を次年度に繰り越したことや、遺伝子解析についてはアレイ解析に変えて一部次世代シークエンス解析への変更や、ノックアウト実験についてはクリスパーキャスナインシステム等のゲノム編集法を導入するなど一部研究計画の変更が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はサイトカイン測定や酵素活性測定等の試薬購入を含めて細胞老化に関する解析を進めていく。
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