前年度に引き続き、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎由来の肝細胞癌発癌症例について追加症例のMICA発現を確認し、血清中、抗MICA抗体をLABScreen MICA Single Antigen testsで測定した。抗MICA抗体の上昇確認できた症例について血清対応型SSOでHLAタイピング検査を行った。自己アリルとは同一の症例が存在しなかった。抗MICA抗体については抗腫瘍抗体として出現した自己抗体ではなく、肝炎ウイルス感染の経緯となった他者からの輸血、輸注の可能性が考慮された。 sMICAも並行して測定し、B型慢性肝炎についてはエンテカビル前後のsMICAの濃度はHCC発癌と関連する因子であり,ETV導入後の発癌予測マーカーとなる可能性が示唆された。 また液性免疫の抗腫瘍活性ついては、消化器癌各種癌細胞株でのpreliminaryな検討の結果、マウスへ移植可能な癌細胞株としてAsPC-1を最終的に選定し、癌腹膜播種モデルマウスの形成を行った。癌性腹水が形成されたマウスの脾臓と腹水と腹膜播種結節を摘出し、 脾臓細胞のハイブリドーマの選択を行い、マウスミエローマ細胞株をPEGにより細胞融合させ,ハイブリドーマクローンを得た。そのハイブリドーマをモノクローナル抗体精製用培地(HAT培地)で生育して,抽出したモノクローナル抗体を精製した腹水中癌細胞もしくは腹膜播種結節より取り出した癌細胞とIL-2刺激後に反応させ,抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)についてLDH release活性を測定している。ハイブリドーマの選択までには高度の技術を要するため今後は委託することも考慮している。
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