1) 実験開始時と2週間後にNrf2 KOマウスとコントロールマウス(C57BL/6)に2OA-BSAを腹腔内に投与してPBCモデルマウスを作成した。コントロールマウスと比較し、Nrf2 KOマウスの方が肝内に浸潤した単核球細胞数は多く、病理所見上も明らかに強い胆管炎所見を認めた。また、肝内に浸潤したT細胞の炎症性サイトカインの発現について、細胞刺激後にflow cytometryで検討したところ、コントロールマウスと比較し、Nrf2 KOマウスのT細胞の方が明らかにIFNgとIL-17の発現が多かった。 2) C57BL/6マウスを使用して2OA-BSAを実験開始時と2週間後に腹腔内に投与しPBCモデルマウスを作成した。実験開始時からDMSOもしくはNrf2活性剤であるスルフォラファンを週三回ずつ8週目まで投与した。DMSO投与群と比較し、スルフォラファン投与群の方が肝内に浸潤した単核球細胞数は少なく、病理所見上も胆管炎が軽度であった。また、肝内に浸潤したT細胞の炎症性サイトカインの発現を細胞刺激後にflow cytometryで検討したところ、スルフォラファン群の方がIFNgの産生が少なかった。 1)と2)よりNrf2がナイーブT細胞からTh1細胞とTh17細胞への分化を抑制することで胆管炎を改善させると考えられた。原発性胆汁性肝硬変はTh1とTh17系サイトカインの発現の亢進が病態に関与している事より、Nrf2を活性化することは新たな治療法の一つとなる可能性がある。今後詳細を更に検討し、論文化へ進めていく予定である。
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